人事ブログ (人材ビジネス・派遣・請負ビジネス)
Amebaでブログを始めよう!

メーカーの直接雇用 続々と・・・

 先日の朝日新聞の記事をお読みになった方も多いかと思いますが、ダイキン堺製作所が大阪労働局より偽装請負の指摘を受け、約500名を直接雇用化したという記事だ。工場の稼働時間や生産量を請負会社の管理下ではなく、ダイキン堺製作所が管理していたという理由で、事実上は労働者派遣にあたり、偽装請負との指摘を受けた為である。


 大阪労働局は、昨年松下プラズマディスプレイに立ち入り検査し、偽装請負との判断を下し、直接雇用に切り替えたという、労働局の中でも「急先鋒」に当たる。


 ここで注目したいのは、ダイキン側としては、各工程では請負会社に任せているラインと、自社の正社員に任せているラインでわけていたという認識であるが、大阪労働局は、『生産ライン全体が連動している為、各工程ごとに独立した作業をすることは出来ない』という認識を示した。これはライン内で自社の正社員と請負会社のスタッフが混在していることは問題があるが、ラインごとに分割がされているのであれば問題でないという、現場の常識を大きく覆す極めてショッキングな決定であったといえるであろう。


 ダイキンは、今後、滋賀製作所(滋賀県)、淀川製作所(大阪府)、鹿島製作所(茨城県)の3工場でも直接雇用に切り替える方針のようで、合計1100名がメーカーの直接雇用となるようだ。メーカー側としては、これら1100人の人事管理だけでも相当な負担になるであろう。従来メーカー人事部は、正社員のスペック人材の募集(新卒・中途等)の採用・教育・配置・評価のノウハウはあるが、契約社員、ワーカーの大量採用の募集ノウハウやそれらを可能にする組織・採用インフラ(採用センターやコールセンター等)が育っていないのが現実である。例えば、請負会社平均の離職率5%程度を想定しても月間での採用数は50~60名、採用率を30%とした場合、面接数は月間150~180名に対応するインフラが必要になる。現在の稼動数を維持するだけでも、大変な作業である。


 いずれにせよ、大阪労働局がカバーするエリアのメーカーは、自社雇用に切り替えると同時に、採用インフラを構築する必要があるとの一つの重大なケースとなりそうだ。





ランスタッド ヴェディオール買収 人材派遣会社で世界2位へ

FINANCIAL TIMESに「Randstad buys rival Vedior for €3.3bn」なる記事が出てました(記事元 )。


いよいよ、グローバル市場においても、買収が熱くなってきました。これで、1位:アデコ、2位:ランスタッド、3位:マンパワーとう順位になりそうです。元々、ランスタッドは工場系派遣や一般派遣が強いですが、ヴェディオールの人材紹介や付加価値型派遣事業の高収益性が魅力的だったようです。また、両社ともグローバル戦略の一環として海外進出が盛んですが、この買収によって相互の強みを生かしたエリア展開が出来そうです。


国内でも、ランスタッド・ヴェディオール共に日本法人がありますが、両社とも日本マーケットへの出遅れ及びM&A戦略がうまくいっていないこともあり、いまいちな観があります。この買収を機会に日本マーケットへのプレゼンスは大きく変わるのでしょうか。日本は大手企業による持ち株会社設立の動きは何件かありますが、買収や合併はまだ、大手が中堅・中小を飲み込むという形が多いようです。ランスタッド・ジャパンとしては、売上100億円前後のコンプライアンスのしっかりしているオーナー企業の派遣会社・請負会社を数社買収していく戦略しかもはや残されていないでしょう。

アルダーファのERG理論と行動科学理論

日経MJ11月30日号の一面記事に「流通各社、離職防止に知恵」という記事でアルファーダのERG理論のことが紹介されましたので、「人事ブログ」でも取り上げようと思います。


ERG理論は、もともと、行動科学理論の分野に入りますので、行動科学理論の歴史や概要をすこしまとめておこうと思います。XY理論や、マズローの欲求階層理論などもこの分野に入ります。


さて、マズローの欲求階層理論は有名ですが、若干の整理を行います。人間の欲求は以下の5つのレベルに階層わけされるというものです。


1.生理的欲求

2.安全欲求

3.社会的欲求

4.自尊欲求

5.自己実現欲求


上記のマズローの研究を受けて、アルダーファはERG理論を提案しました(1972年)。


1.生存欲求(Excistence)

2.関係欲求(Relatedness)

3.成長欲求(Growth)


マズローは欲求のレベルわけ(レベル1が達成された場合にレベル2の欲求がおこる)をしていましたが、アルダーファは、並存可能としています。


おおよその求人広告の手法は、上記1・2・3を全て満たすようなコンテンツになるはずです。

 最初に、1.生存欲求の場合でいいますと、生理的生存欲求としての、「この賃金や仕事内容であれば快適に生存できる」というアピールであったり、また、オフィス空間の快適性や自宅からの通勤容易性等、自己の生存にとってより優位になるような内容が広告内容として当てはまります。

 次に、2.関係欲求でいいますと、自己をめぐるステークホルダー(利害関係者:例えば、上司・部下・家族・友人等)との関係を良好にすることが出来る欲求になります。会社の雰囲気を写真掲載したり、チームワーク重視であることをうたったり等が考えられます。

 最後に、3.成長欲求は、自己の成長を図ることが出来るかという点です。ジョブグレード制度や、スキルアップ、OJT等、会社の人事体制がどの程度自己の成長欲求を満たしてくれそうかという点が考えられます。


これらの1~3にあたっては、募集する職種や業種によって、重点とすべき点が異なってきます。例えば、工場請負系の仕事であれば、1・2が重要になってくるでしょうし、正社員でいえば、2・3が重要になってきます。募集する職種・業種によって、的確に1~3を分類し、表現することが大切になります。


日経MJの記事にはABCマートが、新卒と先輩の間で、交換日記を行い、離職率が昨年と比較して、50%減少したというものでしたが、これは、関係欲求及び成長欲求をサポートする制度と考えられます。

請負適正化ガイドラインの読み方(1) - 請負事業者向け

 平成19年6月時点で、厚生労働省より請負適正化のガイドラインが発表されてからはや、半年あまりが経過しているが、各地の労働局主催セミナーがまだ満席状態であることにより、ガイドラインをお読みになっていない方もおおいかもしれない。平成19年度請負・派遣適正化キャンペーン期間中ということもあり、詳細に解説していきたいと思う。


第1 趣旨:

 製造業の請負事業が広がりを見せ、製造現場で大きな役割を果たしている中で、請負労働者(請負事業主(請負事業を営む者をいう。以下同じ。)に雇用された請負事業で就業する労働者をいう。以下同じ。)については、雇用契約が短期で繰り返される等労働条件、処遇その他雇用管理が必ずしも十分でなく、技術・技能が蓄積されないといった現状や、労働関係法令が徹底されないといった現状があり、これらの改善により請負労働者が現在及び将来の職業生活を通じてその有する能力を有効に発揮することができるようにする必要がある。請負事業は、請負労働者の雇用等に関して、請負事業主が発注者(請負事業主が締結している請負契約の相手方をいう。以下同じ。)からの影響を受けやすい特徴があり、その雇用管理の改善及び適正化の促進を実行あるものにするためには、発注者の協力が必要である。 以上にかんがみ、これは、製造業の請負事業の雇用管理の改善及び適正化の促進に取り組む請負事業主が構ずべき措置に関して、ガイドラインとして必要な事項を定めたものである。

(出展:「製造業の請負事業の雇用管理の改善及び適正化の促進に取り組む雇用事業主が構ずべき措置に関するガイドライン」厚生労働省)


現状に問題があることを明記した上で、


①ガイドラインであること。つまり、全ての項目に関する遵守を徹底を義務づけるものではなく、できる限り行ったほうが望ましいというスタンスである。

②請負労働者の雇用管理を徹底することにより、現在及び将来を守る。

③かといって、請負事業主は発注者の意向に左右される弱い立場にあるので、発注者に対しても協力を要請している。


請負労働者(スタッフ)を保護する目的だけでなく、請負事業者(アウトソーサー)、発注者(メーカー等)に対して、最適な措置をうたうものであることを趣旨として掲げている。

携帯で仕事に応募するの?

 転職サイトリクナビNEXの携帯版サービスが11月19日にオープン(関連する記事) 。 今シーズンには転職雑誌として一世を風靡した「とらばーゆ」も紙媒体を廃止し、ネットへ全面移行を発表したリクルートですが、紙⇒ネット⇒モバイルの流れを代表する動きは加速しそうだ。そもそも求人サイトは、軽作業・アルバイト系の求人において、モバイルは効果が出るといわれていましたが、いつでも・どこでもという流れは転職においても同様になってきたようだ。今後はモバイルへの対応も採用活動のキーになりそうだ。


■多様化する募集ツール


 人材業界の長い方はお分かりかと思いますが、依然は求人広告といえば、雑誌・折込等のツールしかなかった。そこにインターネットポータルサイト等が出現し、紙媒体とネット媒体の両方だけという時代がありました。しかし、現在では、自社の募集サイトをサーチエンジンやリスティング広告でプロモーションをしたり、紙媒体とのクロスメディアをしたりと様々な手法が採用され、採用難時代においては潜在的求職者をいかに囲い込むのかというところに全ての広告活動はシフトしてきている。もはや紙媒体だけを考えていても効果の出ない時代になってきたようだ。



2009年問題 - 製造業の危機、請負会社の倒産

11月8日発売の週刊ダイヤモンドをご覧頂いている関係者の方も多いだろう。「製造業の2009年問題」である。


■2009年問題の背景


 製造業の派遣に関しては、2004年3月労働者派遣法の改正により、製造業への派遣が解禁された。1年間の限定付であったが、請負という名の下で指揮命令系統を無視した派遣形態での人材ビジネスが事実上横行していたことによる、法律の追随ではあったが、偽装請負による様々な問題点が表面化してきたことによる対処としては評価すべきところではある。また、2007年3月からは派遣期間が3年間に延長された。これらの一連の法改正の動きを受けて請負各社は2006年より順次、契約形態を派遣契約に切り替えていったという実態がある。


■製造業の危機、請負会社の倒産


 しかしながら、2009年は上記の動きにより派遣契約と変更された新契約が随時契約終了を迎える予定であり、かつ派遣契約終了後は、正社員への直接雇用を申し出を行なう義務が発生する為、製造業においては完全請負化もしくは直接雇用化が進展せざる終えない。製造業においては、完全請負が出来る企業がまだ国内にほぼ存在しないことから、直接雇用に踏み切りざる終えなく、人件費の急激な圧迫を受け入れざる終えないという状態になりそうだ。他方、請負会社にとってみれば、大量な人員の転籍を迫られることになり、一時的な人材紹介料金の売上はたつであろうが、次期以降の大幅な売上減少は避けられないことが予想される。


■松下・キャノンの方策


 松下・キャノンは2009年問題を見越して、期間工の自社雇用へ方針を転換している。2009年問題で無事直接雇用が出来たとしても、離職を考慮した場合には、月間数百名程度の期間工を採用しなければラインを維持できない為、製造業にとっても大量人材採用のノウハウが必要になってくるが、現時点でこれらの準備をしているのは松下・キャノン・トヨタ系の会社位ではないであろうか。製造業にも、人材ビジネスの採用手法が必要になる時代に突入したことは明確である。


■日本の製造業はどうなるのか?


 日本の製造業の原点は、現場主義であったことだ。しかし最近の現場は、請負・派遣業者がライン以下全て抑えており、現場からのカイゼン・QMは一時期に比べ弱体化したという印象がある。日本の基幹産業である製造業がコストを支払ってまで現場の人間を育てることを放棄し、利益を出すことにこだわった結果が、現在の製造業の危機を招いていることは言うまでもない。既に人件費を含めて高コスト構造になりすぎた日本の製造業。国策手動で、経済優先の2009年迄に製造業への無期限派遣を決定するか、労働者権利優先の直接雇用(といっても基幹工であることにかわりはないのだが)か、を早めに決定して頂かないと、製造業・請負業ともに国策に簡単に左右されてしまう。政治決定を早くしてもらいたものである。