コンコン
「来たか!?」
剛がパッと目を輝かせた
「どうぞ」
返事をすると、ドアが開いて
「こんにちわ」「剛くーん!」
声が聞こえるが早いか
准一くんが元気いっぱいに飛び込んできた
「おう、准一」
ふふっ、剛ってば
お義姉さんに連絡貰ってから、まだかまだかってずーっと落ち着かなかったクセに、余裕なふりしちゃって
あ…
ダッシュしてきた准一くんは
多分、いつもみたいに
飛びつこうと思ったんだろうけど
剛を見て、目を真ん丸にして動きを止めた
そっか…
お昼寝の後、剛の事見てないんだもんね
ビックリするのも無理ない
「どーした?そこ座れよ」
点滴もまだ外せてなかったから、剛が顎でベッドの横の椅子を指すと
准一くんは神妙な顔をしてベッドの横に立って、包帯巻かれた手と、点滴の繋がった手を見た
「剛くん…痛い?」
剛のおデコの絆創膏をジーっと見てる
「あ?別に。んー、ちょっと痒いな」
剛は平気な顔して答えたけど
「…ほんまに?」
准一くんはまだ心配みたいだ
「だぁいじょーぶだって。ほら、ここ触ってみ?」
剛が腕を顎で指すと
ちっちゃな指で、ちょんちょんって包帯の腕を突っついて、准一くんが上目遣いに剛を見た
「全っ然、痛くねぇし。あ、でもアンパンチはやめろよ」
「うひゃっ」剛が笑ったら
准一くんはようやくホッとしたのか、ベッドに両手をついてピョンって跳ねた
「ほな、剛くん、ぎゅーってしてええ?」
えっ?
「准ちゃん、それはダメっ!」
ベッドによじ乗ろうとした准一くんを
お義姉さんが慌てて押さえた
「え?…ぎゅーしたら、アカンの?」
途端にシュンとしちゃった准一くんを、お義姉さんが椅子に座って膝の上に抱っこした
「剛くん、おでこに絆創膏してるでしょ?ぎゅーってしたら痛いんじゃない?」
「ちょんちょんは大丈夫やったよ。痛ないて。剛くんめっちゃ強いから、大丈夫なんと違う?」
大丈夫とは言ったものの、剛はちょっとビビって苦笑い
お義姉さん、どうフォローしていいか困ってる
「うん…剛くん強いね。でもね、准ちゃん…」
「俺、ぎゅーってしたら、剛くん早よ元気になるかもしれんし…」
うん …そっかそっか…
ありがとう
それ、凄く効き目あると思うよ
でも…ゴメン。今日は我慢してくれるかな
「ちょっ、准一、ココ座れ」
剛が顎でベッドの上を指した
剛?何する気?