PとMK(Pとタンデム)Ⅰ | GIN@V6〜since20xx〜

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You've got the best choice!!

 
 
「えっ?車じゃないの?」
 
 
健が目をパチクリさせて、あんぐり口開けてる
 
 
んー。いいリアクションだ、健
驚かせたくて黙ってた甲斐がある
 
 
 
 
「ゴールデンウィークだし、一回ぐらいはどっか行きたいね」なんて言うから
 
 
いろいろ考えて、従兄にバイク借りて
タンデム用にメットも1つ貸してもらった
 
 
「ドライブ行くか」って電話したら
 
やたら喜んでくれたし
 
今日は良い天気だし
 
今日も健は可愛いし
 
 
絶好のドライブ日和だ

 

 

 

 

「ほら、コレかぶれ」
 
まだ驚いた顔してる健に、メットを放り投げる
 
 
 
「乗れるの?」
 
 
「乗れるって。シートちゃんとあるだろーが」
 
 
「そうじゃなくて…剛、運転できんの?」
 
 
は?
 
お前な…俺がチャリしか乗れねぇとでも思ってたのかよ。そんな不安そうな顔しなくてもいいだろーが
 
 
一応、希望は機動隊員だったから、白バイの運転はできるレベルだ
 
 
 
車借りても良かったんだけど
健はバイクなんか乗ったことねぇだろうし、何より俺が乗りたかった

 

 
これでもう一つ、健の『初めて』をゲットできる。なんてな
 
 
 
健はまだヘルメット持って躊躇してる
 
 
お前そんなにビビリだっけ?
 
 
 
「怖いか?行くの止めとく?」
 
「んー、ちょっと怖いな。初めてだし。でも…乗ってみたい」
 
 
だよなー。俺も初めて乗せてもらった時はめっちゃ怖かった
 
「そんなに飛ばしたりしないから。俺、お巡りだぞ?大丈夫だって」
 
 
 
 
メット着けて、健を後ろに乗せてエンジンをかける
 
 
「ここ。ちゃんとつかまってろよ」
 
健の手を掴んで、俺の腰に回させた
 
 
「俺がケツ落としたら、怖がらないで同じ方にケツ落とせよ」
 
「え?何?分かんないよ」
 
 
えっと…何つったらいいんだ…重心が傾いた時は躊躇せず俺と同じ方向に…
 
あー、面倒くせぇ
 
 
「いいから黙って俺にくっついてろ。な?」
 
「う、うん。分かった」
 
 
まだ不安そうな健をあまり脅かさないよう、少しゆっくり目にバイクを走らせた
 
 
 
渋滞してる道路
 
 
車の間をすり抜けるように走ってく
 
 
もうすぐ海沿いの道に出る
 
 
ここらでちょっと休憩すっかな
多分、緊張でくたくただろ
 
 
目に入ったコンビニにバイクを止めた
 
 
振り返ろうとしたら、腰に回した手がまだギュッと握られたままになってる
 
 
…お前
もしかして、目瞑ってんの?
 
 
 
健の手の甲をペシペシっと叩いた
 
 
「おーい、一旦休憩。降りるぞ」
 
 
ようやく手は離したけど、健は大きく目を見開いて俺を見てる
 
 
「え?休憩?…なんだ。ここコンビニじゃん」
 
 
フッ
周り見る余裕も無かったか
 
 
 
コンビニで飲み物買って、車止めの所に腰掛ける
 
 
「そんなに緊張した?」
 
 
あっという間に、ペットボトルの中身が半分くらいになってる
 
 
口に含んだ水をゴクンと飲み込んで、健が大きく頷いた
 
 
「車とかめっちゃ近く走るからさ、怖くてずっと目瞑ってた」
 
 
プッ、やっぱりな
 
 
「もうすぐ海見えてくるから、こっからはちゃんと目開けとけよ」
 
 
「え?海⁉︎」
 
 
海なんて、別にそんな珍しいモンじゃ無いけど、海見ながら走るのスッゲー気持ちいいぞ
 
 
 
少し緊張がほぐれたのか、健にいつもの笑い顔が戻った
 
 
俺は海じゃなくて、お前の顔眺めててもいいんだけど
 
もっと喜ばしてやりたいから
 
 
 
「よし、行くか」
 
また、バイクに乗って走り出した
 
 
 
 
まだシーズンじゃないせいか、思ったほど車も混んでなくて、すぐに海沿いの道に出た
 
 
 
海よりも少し高い位置の道路から、砂浜とキラキラした海が見える
 
水平線の手前を船が通ってく
 
 
健のヤツ、まさかまた目瞑ってねぇだろうな
 
 
 
あー、めちゃめちゃ気持ちいい
 
このままノンストップで海岸まで行くか
 
 
 
 
背中に健の鼓動を感じて
 
ハンドルをギュッと握り直した