剛がバタバタと部屋を出て行って
え？なに？なんで？えっ？えーーーっっ？
頭ん中、こんがらがって
しばらく床に座り込んでた
昨日、磁石みたいにって思ったのは俺だけが勝手にくっついて行ったんじゃなく、えっと…その……
剛の方もって解釈していいんですかね。
ちょっと落ち着いてきて、ニヤニヤしながら残りの資料片付ける
あーあ、バラバラのまんま適当に持って行っちゃったよ。
早めに会社行って、整理しないとな。
昨日の夜、剛に見て貰った企画書案がテーブルの上に置いてあった。
特にコメントも書いて無かったし、何も言ってなかったけど
Ａ案とＢ案、Ｂの方にマルしてあって
やっぱそっちか。剛なら多分そっちかなーなんて思ってた。
ちょっと嬉しくなって
とりあえず、早いけど俺も会社いこう。
支度を始めた。
喫煙ルームの前を通りかかったら、坂本さんに声を掛けられて
コーラ？朝から？
奥の方に剛が座ってるのが見えて
せっかく落ち着いてから来たのに、さっきの思い出しちゃってドキドキして。
コーラ買って、自分の分は給湯室でマグカップに白湯を入れて
また少し落ち着いて
ちょうどいいや。企画書の案、今見てもらおう
Ａ、Ｂ案両方持って喫煙ルームに戻った。
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……なぁ、三宅。
お前も座れよって俺が言ったけど
無理して俺の隣座らなくても。
そっち狭いだろ
何で二人で俺をはさむ？
ベンチの片側寄りに、アンバランスに３人並んで座って、渡された企画書案に目を通した。
「２通り考えてはみたんですけど、俺らとしてはＢ案の方がって思ってて。な？」
「あ？あぁ…えっ？そうだっけ？」
「マルしてくれてたじゃん。これ」
だから、そんなに身を乗り出して話しかけるんだったら、俺邪魔だろ？全く…しゃーねーな。
席を立って、灰皿の近くまで行って煙草に火を付けた。
企画書を見ながら、ベンチに残された二人の様子をうかがう。
三宅は落ち着いて、マグカップの何か飲んでるけど……森田、お前コーラ飲みたかったんじゃないのかよ？
時々三宅のことチラ見しながら、コーラあっちやったりこっちやったり
開けるとき大変なことになってもしらねーぞ
三宅がポケットから財布取り出して
「これ、テーブルの上忘れてっただろ？」森田に渡して
「あ、サンキュ」って、財布ん中あけたから
「コーラ代なんかいらねーぞ」って言ったのに
わざわざ小銭持って俺んとこまで来て
「ありがとうございました」ベンチに戻って
はーん。なるほどね。
三宅のすぐ隣に腰掛けた。
で、二人で何話すわけでもなく、目を合わすわけでもなく……
お前らさ、告白直前の中学生みてーだな。
ここ体育館の裏じゃねーぞ。
やっぱ俺、邪魔か？
俺、虫嫌いだから
おじゃま虫になんかなるの嫌だぞ
煙草の火を消して
「これ借りておく。後で他の資料持ってきて」
喫煙ルームを出た。
俺が居なくなった途端、チューとかすんじゃねーだろうな。
まだ他の奴ら来てないけど、ここ、外から丸見えだから、手握るぐらいにしとけ。