私は子供の頃から大相撲を観るのが好きでした。

初代若乃花の大ファンでした。

 

近所の市場の入り口に店舗を構える電気屋が

路上に向けて大相撲のテレビ中継を掛けてくれました。

自宅にテレビがある家はまだありませんでした。

拠って大人も子供も鈴なりのように固まって

取り組みに夢中になりました。

 

千秋楽、若乃花、栃錦ともに全勝で対決です。

私は両手を力いっぱい握りしめ、これ以上力が入らない

というくらい全身を硬直させ、あたかも自分が取っている

かのように前のめりになってテレビ画面を睨みつけていました。

 

今日の本題から外れた話を長々と書いてしまいました。

いやはや恥ずかしい。この歳になっても好きなことを述べると

夢中になってしまいます。

 

さて、今日のテーマを書こうと思ったのは、昨今の相撲の

取り口に大いに不満を持ったからです。

 

あまりにも「引き技」を多用するのです。

殆どの力士が引き技をします。

十両と幕内の取り組みは一日に約30数組ありますが

どう少なく見ても10組は引き技を使っています。

相撲の世界では昔から云われています。

「押さば押せ、引かば押せ」

要は引き技を戒めているのです。

 

相手力士を押し続けるのは、まさしく力仕事です。

それに引き換え、サッと引いて相手力士を転ばせるのは

言って見れば「楽なこと」です。

 

何故「引き技」が戒められるか?

それは「楽して勝とうと思うな」という教えです。

それに「引き技」は往々にして己の敗戦に直結するからです。

 

こんなこと、今の力士も重々認識しているはずなのに

いつまで経っても「引き技」が減らないのは

実は「己の自慢の技」これぞ「俺の技の肝」がないからです。

 

ちなみにまた初代若乃花に戻りますが、彼の得意技は

「揺り戻し」という豪快な投げ技でした。

 

では、どうしたらそのような己の「これぞ俺の仕事の肝」と言える

ものができるでしょうか・

 

皆さん、如何ですか?

あなたの「これが俺の肝!」は何ですか?

 

そうでしょ?

そうなんです。この「肝」は

「一朝一夕にできてたまるか!」なんです。

つまり日頃からコツコツとたとえ成果がすぐ見えなくても

たゆまず基本に忠実に繰り返し前進することなんですね。

そしてやがて気がついたら、「己の肝」が見えるのです。

そうです!決して「引き技」を使おうと思ってはいけません。

もし楽して何かの成果を得たとしても、それは「肝」にはなりません。

苦労してこそ揺るぎない「肝」が身に着くのです。

 

しんどい話です。

ハイ、しんどいです。

でもこれが王道です。

頑張りましょう!