ノルウェイの森
村上春樹氏の小説の映画化です。
トラン・アン・ユンさんと言う方が監督さんです。
不思議な映像でした。
登場人物たちはやたらと動きまわりながら会話をし、キャメラがゆっくりとそれを追いかける。
エピソードも何か完結しないまま、時間の経過もうまくつかめないままに流れていく。
そして彼らが飲んでいるのはワイン。
不思議な世界観でした。
でも、60年代の若者の雰囲気はとても良く出ていたと思った。
ただ当時の車が走ってるだけとかじゃなく、小物や衣装、髪型とかね、僕の知っている60年代の感じでした。
学生運動、当時は大学だけではなく、高校でもかなり激しい運動があった。
僕が高校に入る頃見事にその炎は消えていた。
あちこちに剥がし忘れたアジテーションのビラだけは残っていたが・・・・。
そんな僕らは、やりもしないのにラクビージャージを着てフリスビーをやったりしてアメリカに染まっていた。
何かひたすらに打ち込む物が欲しい。
本能に任せて生きてみたい。
若いときは深く考えることをしない・・・だって将来は延々とまるで無限に感じられるから。
そう感じられなかった若者は死を選んだ。
あまりにも簡単にね。
本当にまるではやり病のように自殺がブームになる。
でも毎日がわくわく、ドキドキしていた気がする。
それは時代のせい?
それともただ若かったから?
小説が書かれたのは、1987年。
僕も当然のように彼の小説にはまっていた。
「風の歌を聴け」
「1973年のピンボール」
「羊をめぐる冒険」
「ダンス・ダンス・ダンス」
「世界の終わりとハード・ボイルドワンダーランド」
そう言えば最近の作品は読んでいない。
「ノルウェイの森」
赤と緑のパッケージ、僕は本棚の奥から引っ張り出してみた。
第一刷発行だった。
読んだのは僕が20代後半の時ってことですね。
何故か書き出しの飛行機のことだけはハッキリと覚えていた。
あとは、女性をひたすらに好きでいよう!!って思ったことかな・・・。
覚えていないことのほうが多いですが。
せっかく引っ張りだしたのでもう一度、20年後に読み返してみましょうか・・・。
新しい作品もね。
直子は僕の中では、少女でもない、大人の女でもないただひたすらに美しい表現しがたい女性だった。
でも映像化するって事は、生身の人間が目の前に現れるってことなんですよね。
僕はこの作品、好きです。
映像の中に流れる時間の感じとか・・絵の切り取り方とかね。
とっても私的な小説!
この映画も私的なものを感じました。