お見合いは

相亲奇遇记
《读者》2023年第15期
お見合いはロマンチックな体験をもたらしてはくれなかったが、友達へ面白いネタをたくさん提供した。
信頼している友人たちは私の以前のお見合い相手は変わりすぎていると思い、親切心から私のために
お見合いの席を設けてくれた。お見合いの相手は彼の同僚で建築士だった。
毎回両親が手配したお見合いの時は、その人の背景や家柄、経験などを伝えられていたが
今回は写真と苗字以外、彼の一切について私は知らなかった。
今回会った場所は、彼が決めたところだったが、私も好きな小料理屋だった。
食べ物もふつうで、しかしどれも見た目がいいだけではなく本当においしかった。
私がお店についたとき、彼はすでに座っていた。髪型は少し乱れていたものの
そのほかは写真と変わらなかった。おそらく彼自身も今日の髪型はすこし変だと思ったのか、
私が座った時、くしで髪をこっそり直していた。
彼は特別話が上手なタイプではないけれど、話はとても面白くて、私にとって印象深かったのは
記憶力がすこぶるよく、おしゃべりをしているときにある都市の人口の数字について引用し
もしクイズ大会に参加したら彼のチームはおそらく一番になれるであろうほどだった。
私は彼に理性的な性格かと尋ねてみると、彼は考えて、いつもそれほど理性的ではないと答えた。
そして続けてこんな話をしてくれた。
彼が東京で仕事をしていたころ、自分の好きな建築士の展覧会を見に行くと
最後の展示の壁に目立たない一行があった。
××建築士は東京郊外のある物件にいる。彼はその物件の名前を覚え、翌日見学にいった。
そのアパートの作りはとても奇妙で、半分が地下。アパートの中を人が歩くと窓の中から人びとが
芝生を歩く足元が見える。そのためこのアパートの名前は「虫の視覚」という。
当時大学を卒業して間もなかった彼にとって、このアパートの家賃はとても高く、
彼の収入の90%ほどだった。しかし、彼はこの家をとても借りたくて仕方なく、意外にも借りれることになった。
週末、建築系の学生がやってきて、中を見学させてほしいと言い、彼は毎回喜んでガイドした。
これは私が体験してきたお見合いの中で、一番面白い話だった。
ごはんを食べて、お店の前でタクシーを待っていた。すると彼が突然「手を出して」と言ってきた。
私は一瞬また投資家と同じことをされると思い、また彼も私の手をつなごうとしているのか?と私はおそるおそる手を伸ばした。
まだどういうことなのかわからないうちに、手の中にはブラックチョコレートがいっぱいだった。
これは僕が世界で一番おいしいと思う、ブラックチョコレートだよ。
彼の表情が瞬くまに宝物を相手に渡そうとする男の子の顔になった。
彼はまさに自分がとても好きなおやつに点数をつけると言っていた。
一粒のチョコレートを握り、私はニヤニヤするのを止められなかった。顔が熱くなるのを感じ
鼓動がすごく速くなった。ごはんのときに飲んだアルコールが突然作用してきたのかと思った。
彼は私がタクシーに乗ると、私に手を振り「また会おう」と言った。
私の心はーグドンー彼は上海なまりだった。
恋愛において、どこの生まれはどうでもいい、「恋愛における思い込み」はすぐ打ち消してもいいのではないか。
