ママはあなたとずっと一緒にいた 1 下 | 目指せ!2025年中検準1級合格

目指せ!2025年中検準1級合格

合格までの道のりをシェアするブログ♪
合格するまでの進捗、心の状況をアップして
2025年中には合格します

そのほかは「読者」という雑誌の翻訳をアップします。






「イカは比較的太っていて、肉厚なんだよ。ヤリイカは細くて長く

一つ一つ小さな円に切れるのだよ。君は小さい時から小さくて丸いのやコンキリエが

好きだったよ。」


彼はキッチンに入り、娘がどのくらい出来ているのかを見たかった。


鍋をキレイに磨き

料理台の上にはトマト、コンキリエ、それと

まだ完全に溶けていない白い頭足網の軟体動物、

やはりヤリイカがあった。


「友だちはいつ来る?」

「明日。ただ私は先に試してみてるだけ」


娘は急に不自然になって

好きな人がいるような素振りをした。


「まだ玉ねぎもニンニクもない」

彼は引き出しの中の缶詰を探すと

オリーブオイル、タイム、黒胡椒を見つけたが

これらは1年以上放置されていた。

8割期限切れ。

彼は一緒にスーパーで調味料を買いにいおうと

提案した。


これが父娘が初めての一緒の買い物ではない。

ただ、馨馨は高校進学後、授業が多く

ストレスも多く

友だちがいるので、父と出かけるのはグンと減った。


馨馨が小さい頃

彼がどこに行くときも娘を連れていた。


果物を買い、牛乳を買い、

馨馨はしきりにクッキー、飲み物をカートに入れた。


娘が入れたおやつを目の前にして

ときどき思うのは

もし妻がいたら馨馨がこのようにものを次々と

カートに入れることを許しただろうか。

1年ごとに

彼の判断は曖昧になっていた。


妻はクドクド言うタイプではない上

いわんやワーキングウーマンで

彼女は一体どのように

子どもに接したであろうか。


妻が逝ってしまったとき

馨馨は2年生になったばかりで

彼女の母に対する記憶が浅いだけでなく

彼の妻がどのような一人の女性だったのかもわからない。


というのも

彼は実際に忙しく

母娘がどのような日常を過ごしていたかを

知らないのだ。


唯一確かなのは

妻は娘を愛していて

とてもとても愛していた。


亡くなるまえ、

妻は悲しみに暮れて夫に言った。

「私、先に行かなければならないわ。

あなた、お疲れ様。ごめんなさい。


馨馨、本当に本当にごめんね。

どうして大きくなるまで一緒にいられないんだろう。」


あっという間に10年が経った。

馨馨が大学生になると

おそらくさらに一緒に出かけることは減るだろう。



つづく