大学教師が配達員になる 3-上 | 目指せ!2025年中検準1級合格

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             3 上

配達員をやっていた一ヶ月間、邢斌は走り回っている
多くの人に出会い、無力さをしみじみ感じた。

ある日の夜中、涑川の川辺で注文品が出てくるのを待っていたら
ある老人が彼の側に座った。
邢斌は彼を見ると、ひげも髪の毛も全部真っ白だったので
何年生まれか聞いてみた。

相手が言うに、今年66歳と。(数え年)
「そんな年齢でまだ配達員を?」
「酒と煙草代と遊ぶ金と、子どもに負担かけないように。」
「1ヶ月どのくらい入りますか?」
「2、3千元かな。家賃と食費以外にさらに、年末に孫に一万ぐらいを
あげられる」

持ち帰り屋台は配達員に対し、年齢制限を設けていて
その老人はすでにその年齢を超えていて、
甥っ子の身分証で登録していた。

また別のとき、その時も一緒に注文品が出てくるのを待っていたとき
ひとりの若い配達員と話した。
「私は彼に聞きました。今の生活で何が一番苦しいかと。
彼は配達員が一番苦しいと言い、配達センターの仕分けも大変、
引越し代も大変、フロアタイルを上階に届けるのも大変、と。
私は尋ねた、実家で農業をするよりも大変ですか、と。
彼は、当然農業をするより大変だと。しかし農作業はお金にならない、と。
私は彼に尋ねた、このいくつかより建築の方が大変かと。
彼が言うには、建築よりも大変だ。しかし建築は半年間は生きていけるが
半年は仕事がない。年末になると、現場監督が夜逃げしてしまうかもしれない。
そうすると、タダ働きになってしまう。と」

この経験をするまで、邢斌は労働者の境遇を理解していなかった。
彼は幼い頃から家は貧しくなく、現在は夫婦で教師をしており
収入は安定していて、生活も豊かである。

「自分はとても守られたような世界に居て、実際の庶民を
感知する能力が欠乏し、このような中では思考はどんどん鈍感になり
老化は甚だしく、萎縮していく。」

配達員を始めたばかりの数日は
邢斌の収入はそれほど多くなかった。
ネットで攻略法を調べる以外は、ベテラン配達員を探しては
教えを乞うた。
1日の一番忙しいランチの配達時間を終えると、40前後の配達員が風を背負い
煙草を吸っていた。邢斌がその方に近寄って、煙草を渡した。
ベテラン配達員は邢斌の状況を聞いたあと、彼に言った。
もし、一番重要な商圏を走るなら、そのほかの注文は取るな。
もしくは長距離の注文を取るか。邢斌が乗っているのはバイク。
スピードは出せるから、その道すがらのちょっとした注文は受けるな。

まずは核となる商圏をぐるぐるまわり
付近の団地を念入りに走ったことで、配達員のランクが上がってから
最終的に長距離の仕事を取るようにした。

苦しさ以外に、邢斌は配達員同士の協力精神と知恵も
経験した。


つづく