今さら褒める必要がない、大人気、予約至難の日本料理屋「晴山」。
晩秋から初冬に向かう食卓は、美味しい食材が目白押し。
なんだかんだ言っても、この店の総合点はやはり高い。
もっと高額支払にすれば、白トリュフだのキャビアだのが出てきて見栄えもウェイウェイするのだろうが、今ぐらいの水準でもう十分。
このままの高度を保って安定飛行を続けてほしい。
ふぐとアンキモの前菜。皮や遠江なども入ったふぐに肝をまぶして食べるという、不細工だが美味な魚の競演。
香箱蟹の真薯椀。メス蟹の身と味噌がたっぷり。他人がむいてくれて、しかも真薯でまとまり食べやすいなんて、蟹の食い方としてはバチがあたりそうだ。
お造りがまた良かった。皮目を炙った白甘鯛は上品な脂がみなぎる。氷見の迷い鰹も、血のニュアンスに甘い脂がのってくる。ねっとりしたアオリイカにも悶絶。
「かどわきか」と突っ込みたくなる見た目だが、こちらは秋トリュフと雲子の飯蒸し。アルバの白トリュフとは、価格的に大違いだろうが、しかしこれくらいが現実的だと思う。日本料理なんだから。
炭火でパリッと焼いた鰻とゴボウ餅。両者、とても合う。この一皿に、ワンポイントで赤ワインが欲しくなる。
この季節の名物、蟹クリームコロッケ。なんだか創作和食屋くさいが、しかしその辺の洋食屋などお呼びでないレベル。蟹がぎっしりなのに、割れたり爆発せず、美しい見た目。的確な加減の玉ねぎソースとの相性が、また抜群。
飛騨牛のシャトーブリアンと大根の炊き合わせ。普通に美味い。カウンターに居合わせた外国人が大将に親指を上げて「テンサイ(天才)」と褒めちぎっていた。
25キロのクエの唐揚げ。身も美味しいのだが、手前の食道がコリコリとした食感で、中々の珍味。
名残の生イクラに鰆、海苔の炊き込みご飯。これで文句を言う人がいますかね、というお味。
柿とマスカルポーネチーズのアイスクリーム。和食屋なのにシャレオツなデザート。
予約は半年先まで埋まっているのも、納得である。