当ブログでは、これまでに何度もこの店のことを書いてきた。
それらを見返すと、同じような写真が次々と出てくる。
敢えて語弊を恐れず言うならば、偉大なるマンネリ。
正しく言おうとすれば、正確なる反復。そしてその中に潜む技の向上。
ただのマンネリなら、客は離れる。
しかし、それが高いレベルにおけるたゆみない研鑽であれば、客は飽きない。
手先だけで目先を変える料理が多い時代にあって、このオーソドックスは特筆に値する。
併せて評価すべきは、抑えられた料金だ。
支払いのたびに、申し訳なくなる店、と何度も書いてきたが、それは今も変わらない。
フォアグラのテリーヌ。食材の質と処理の基本技術が問われる、剥き身の一皿。
リンゴとサツマイモもピュレ、香ばしいパン、そしてソーテルヌと一緒に口に含むと、至福の2文字が脳に浮かび上がる。
オマールエビのトマトバターソース。シャンパンバターソースよりコク深い味わい。
それを重く感じさせないのが、たっぷりのズッキーニの役割だろう。フレンチを食べる喜びが沸き上がる一皿。
白子のムニエル、アンチョビソース。カリッとした焼き目と、ねっとりとした白子の内部のコントラスト。
アンチョビの塩気が、白子の甘みを引き立てる。
新潟網取り野鴨のロースト。今年は不猟だとかで、他店では欠品だったり、質の問題で調理法を変えたりと、色々苦労があるよう。
この青首は、噛み応えも十分で、皮にも脂と甘みが詰まっている。硬めの肉質を、食べやすく薄切り、そぎ切りにして出す店もあるが、ここのように厚めに切って、ワシワシと食わせるのが王道かもしれない。
日曜の夜だったから、当然と言えば当然だが、満席。
常連に愛されているのが良く伝わってきた。