今は店じまいへのカウントダウン真っただ中の「ドゥエリーニュ」。
残念至極である。
今後はしばらく、雇われの料理人をやるそうだが、成長のための良い機会となるだろう。
再びオーナーシェフとなる時には、良い人を採用する策、辞めずに続けさせる術、チームワークで高みへと昇っていく店づくり、それらを実践されることだろう。何年先かは知らないが、次の飛躍が楽しみだ。
料理は6月訪問時のもの。
当店風カプレーゼの再構築。トマトのムース、国産モッツァレラ、トマトのエキスが混然となり、酸とミルキーな甘みが食欲を刺激する。
丸々太ったシマアジのグリル。紅大根のおろしを添えて、当店風の「焼き魚」に。良い素材には、無駄な手を掛け過ぎないように、という考えが表れている。
琵琶湖の稚鮎のコンフィ。上にはレモンジャム。葉はマジョラム。添えた水ナスが好相性。
才巻海老と穴子のパイ包み、ブールブランソース。どクラシックなフレンチだが、誠にうまい。つなぎの魚のムースの出来がとてもよく、パイ生地とのバランスも絶妙。
うにのパスタ。ありきたりに見えるが、抜群にうまい。
増田牛のカタシンのロースト。首に近い肉で、シコシコとした噛み心地。旨みがジワジワにじんでくる。
吟味された部位だけに、焼きのテクニックがひときわ光る。
改めて、良い店と料理人に出会えたことを幸運に思う。