時代がかった内装。慇懃なサービス。これぞ高級フレンチ、というべき要素が満載の店である。
なにより、ワインリストが素晴らしい。
狂騰したブルゴーニュなどが、小売りと変わらぬくらいの値付けでオンリスト。
カーヴのストックを育て上げた戦略性とオーナーの心意気を感じた。
ただひとつ、料理が・・・、なんというか、十年一日の観が否めない。
前菜は、アンコウの肝をフォアグラ風に仕立て、キンメダイのフュメとヒヨコ豆のブリニを添えて。
フォアグラ風に仕立ててあっても、味は真っ向からアンキモである。
不味くはないけど、フランス料理としての高揚感がわかない。量も少ないし。
カナダ産オマール海老のポシェ、レンズ豆とウナギのフュメ 赤ワインソース。
オマールの質は申し分なし。ウナギとレンズ豆も面白いアクセントになっている。
スペイン産鴨のロティ、サルミソース。
これも鴨の量が少なく、食べた気がしない。カリッと焼かれた皮目の風味は悪くないのだが。
ソースは、こう見えて重みがなく、味の奥行が感じられなかった。
デザートやプティフールのワゴンはなかなか壮観。昔のトロワグロ(仏ロアンヌの本店の方)を思い出した。
料理は控えめにして、ワインを目当てに、また行きたいものだ。