




先日書いた「銀座・矢部」もそうですが、他所から銀座に移転してくると、ポンと料金が上がったり、それに伴って料理のスタイルも変わったりする店がほとんどですね。
テナント料が高いから仕方がないのかもしれませんが、それで昔からの馴染みが離れていったりするなら、何のための移転なのか。
銀座に店を移して、儲けを増やしたい、という下心が丸見えで、肝心の料理に対する信念が揺らいでいる人が、良く目につきます。
これに対して、虎ノ門時代から時々うかがっている「サラマンジェ」。銀座に引っ越してからも、相変わらずのリヨン料理です。値段もあまり上がっていないように思いますし、量も引き続きガツン系。ここのシェフは、まず料理人としての思想ありき、なんでしょうね。
そんなサラマンジェの料理、アラカルトのみとなります。

まずは、サラディエ・リヨネ。
ここへ来ると、いつも頼んでしまいます。このボリュームがたまりません。
鶏のハツとレバ―、ニシンのマリネ、ラルド、豚のツラミなどがてんこ盛り。ルッコラもイキイキとして良い苦味です。キャロット・ラペも入っていて、この一皿で完全栄養食。
ワインもグイグイやれるサラダです。

こちらは、ご自慢のブロシェのクネル。
わたし、あまりクネルは好きではありません。リヨンの 「La Mère Brazier」やその他の店でも食べましたが、あまりうまいと感じないものでして。
しかし、ここのクネルは抜群です。
川カマスのすり身は味も舌触りも大変良い。さらにナンチュア・ソースが素晴らしい。
エクルヴィスからくる甲殻の香りとコクがたまりません。
これぞリヨン料理屋の真骨頂でしょう。この人が作るグラ・ドゥーブルなんかも食ってみたい気がします。

こちらはうなぎのマトロート。写真は半人前の量。
これがリヨン料理かどうかは知りませんが、味は結構です。
うなぎの品種も扱いも、日本の方が一枚上手ということでしょう。
トロリと煮あがったうなぎに、煮詰めた赤ワインの汁が絶妙です。

メインは、乳呑み子豚のポシェ、黒オリーブソース。
見事な火通しです。実物はもっと美しいピンク色。
ハーブで香りづけしたオリーブオイルでゆっくり火を入れていくそうです。
肉汁をたたえたジューシーな肉質。頼りない噛み心地が乳呑み子豚らしくて、するすると喉奥に消えていきます。
淡泊な肉に、黒オリーブは良いアクセント。
オシャレ度は決して高くありませんが、美味いもの好きな方、ニクージョなどと自称している女性などは、一度は行くべきでしょう。
次回は食べそびれたアンドゥイエット目当てにうかがいたいものです。