




知る人ぞ知る、というよりは知らない人がたまたまフリで入店することはまずありえない、という立地。
これ以上ないくらい、ひっそりとした佇まいです。
それでも店がやっていけるのは、ひとえに腕のおかげなんでしょうね。
ランチのお決まりは7000円と、サラリーマンの街・新橋ではひときわの高額設定です。
店主は、値を下げてまで集客しようという気はないご様子。それでやれるなら、多いに結構なことです。
ネタの質がいいのはもちろんのこと、シャリも良くできています。
瑞々しい米を程よいやわらかさで炊き上げ、やさしい味加減に仕上げており、ネタの持ち味を存分に引き出してくれるシャリです。
初手のトロは、毎度のように産地が変わるものの、いつもなめらかで繊維のキメが細かいものを切り付けてくれます。
白身もハズレがなく、春からの鯛などはなかなかいいものを手に入れてます。
昆布じめにしたさよりなど、手をかけたネタもおいしい。
光りものが、またどれも良くできていて、特にサバはきっちりとした締め加減ながら魚本来の味をちゃんと残しています。
生のものでも、鯵なんかは思わずうなるほどの上物を使ってます。
とどめに出てくる中落ちの手巻きは、豪快で食い応えあり。
香り高い海苔を噛み締めると、中から程よい脂加減の中落ちがニュっと絞り出てくるのがたまらない。
「ああ、うめえな」と声を漏らしたくなる逸品です。
グルメガイドも食べログもほとんどノーマークで、文字通りの隠れ家。
寿司通を自認する方にこそ、ぜひ足を運んでもらいたい一軒です。

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