




麻布十番の分かりにくい建物の地下にあるお店。方向音痴のわたくしには、難しい立地です。
店内は、照明を落としたダークな雰囲気。おまけにBGMは重めのモーツアルト・・・。あまり気分は上がりません。要改善です。
料理は、前菜・メインともに7~8種類から4皿を選べるプリフィックス・コース。
ちなみに、メイン4皿でもOKだそうです。が、もしやったら、客としての品位は問われるでしょうね。
前菜で目を引くのは、「バリエーション」と称する盛り合わせ料理。
有機野菜、オマール、フォアグラを素材として、バリエーションを構成しています。


こちらがオマールのバリエーション。
上の写真は、クリームの中にオマールの出汁のジュレと細かく刻んだマンゴが入ってます。
下のは、テリーヌに海老ミソ風味のムースがのったもの。
今風のフレンチとして、味がまとまっており良く出来ています。オマールの質は、今一つかとも思いますが、それを料理の腕でカバーしている印象。

こちらはフォアグラのバリエーション。
プチプチと色々ありますが、どれもちょっと甘いのが難点。
特に、手前真ん中の「フォアグラのクレームブリュレ」とスプーンにのった「フォアグラのアイス」が甘すぎ。酒が進まないし、食欲が収縮してしまいます。
手前奥の酢味噌とみょうがをのせたテリーヌは、努力賞ですけれども、もうひとつこなれるための工夫が必要です。

メイン一皿目は、蝦夷鹿の岩塩包み焼き。ベリー系のソースです。
焼き方が大変結構。鹿の風味が、肉に籠ってます。
ただ、ソースはパンチ不足。存在が中途半端で、鹿の連れ合いとしては頼りない。

メイン2皿目は、ウズラのフォアグラ包み焼き。
カレンズという果物とポルトのソースです。
こちらは、ソースと肉がうまくマッチしています。
付け合わせのグラタン風じゃがいもまでおいしい。
この日飲んだカレラのビルズ2002年とは、どんぴしゃでした。
カリフォルニアのピノノワールも10年たつと、それなりの「淑女」になるようで、ウズラのような淡白な肉にも上手に寄りそえていました。
とはいえ、カリフォルニアのピノの素性ゆえでしょうか、その味わいには持って生まれた陽性な部分が前面に出ています。天候のせいでしょうか。
個人的には、ブルゴーニュの隠微な佇まいの方が好きです。困難を乗り越えて辿りついた境地が持つ優雅な影、とでもいいましょうか。

デザートは、ナウい感じのモンブラン。
おいしいんですが、栗を覆っているチョコがイマイチです。栗に合ってません。
あれこれ言いましたが、全体としての満足度は高いです。
驚くのは皿出しの早さ。テーブルでバラバラの注文をしてもへこたれず、良いテンポで料理が出てきます。
サービスもそつがありません。
カリフォルニアワインの勉強のために、ちょいちょいはうかがいたい一軒です。