




洋画家の梅原龍三郎は、うなぎが大好物だったそうです。
97歳まで生きた画家は、年をとっても2人前はぺろりだったとか。
そのことを記した本を読んだせいで、とにかくうなぎが食べたくなり、時間の関係で銀座のこの店へ出掛けてみました。
銀座4丁目にほど近い、晴海通りに面した立地。
特等席は、2階の窓ぎわです。通りを行く人を見降ろしながら酒を飲むのは、なかなか悪くありません。
ただ、予約は木挽町の本店しか受け付けていないので、使い勝手は悪いです。
さて、ビールを飲みながらツマミを注文。

うなぎと並ぶ名物だという鯛茶漬けの鯛だけ。
細切れにした鯛の質は名物にふさわしくないレベル。タレはしょっぱいだけで胡麻の風味に乏しい。

うまき玉子。
玉子がやけに甘く、鰻が少ないです。酒のツマミには向きません。

胡麻豆腐。
これは胡麻の風味がしっかりしていてまともです。

鳥味噌茄子。
これも鳥味噌がやけにしょっぱい。茄子とのバランスがとれていません。
竹葉亭では、五代目別府得三が北大路魯山人の「星ヶ丘茶寮」で修業をして研鑽を積み、日本料理にも力を入れる路線になったのだとか。
そんな店の歴史を微塵も感じさせないツマミ類でした。

白焼き。
安いし早い。貧相でぬるいうなぎです。
この店では、「うなぎは冷めた方がうまい」と公言しているようですが、それは弁当での利益向上を狙った詭弁というもの。店でぬるいうなぎを食べたい人はいないのではないでしょうか。

蒲焼。
可もなく不可もない、さっぱりした味です。タレもサラっとして、甘みは控えてます。
要するに、この店ではこれを食うしかない、ということです。
余計なものを頼むくらいなら、梅原画伯にならって、蒲焼を2人前食ったほうが余程納得がいきます。
しかし、本格的にうなぎを味わいたいとなれば、やはり時間を惜しまずに実力店まで足を運ぶことでしょう。
そして、鰻屋はやはり専門店。自分で注文しておいて何ですが、気の利いたツマミを出そうなどというのは邪道です。