東京のお盆は7月に行われる。
案外知られていない。
「お盆休み」は8月である。
また、多くの地方のお盆供養は8月である。
知られていないのも頷ける。
「盂蘭盆経」には7月15日にお盆供養を勤めるよう記されている。
江戸時代までは、地方でもお盆は7月だった。
ただし、旧暦の7月である。
明治以降は新暦となった。
そこで、現在、地方のお盆は旧盆とされる。
東京の寺に勤めている私は、7月にご供養をお勤する。
お盆は7月13日、14日、15日である。
概ね3日間である。
16日が入ることもある。
しかし、多くの方のご供養となれば3日間では間に合わない。
納めるには1週間程かかることとなる。
「お疲れですよね」
後半になるとお気遣いいただくことが多くなる。
「いえいえ」
そう答える。
だが……。
声の張りはどうすることもできない。
兎にも角にも、今年もお陰様でお勤めを終えることができた。
(エビピラフが食べたい)
唐突にそう感じた。
終えた翌日の昼である。
だいぶ汗をかいた。
塩分や油分が抜けたのかもしれない。
しかし、残念ながら自分では作ることができない。
そこで、スーパーで冷凍ピラフを買ってきた。
(生臭ですがお許し下さい……)
とても美味しく頂いた。
(そういえば)
食べながら思い出した。
母方の祖父と相模湖へ行ったときのことだ。
約40年前となる。
2人で、ぶらり1日散歩旅をした。
その際の昼食、湖畔のレストランで一緒にエビピラフを食べたのだ。
「美味しいな」
祖父の言葉である。
和食好きの祖父が私と同じものを選んだ。
選んでくれたのかもしれない。
(あっ)
髪結い髪結わず。
情けない。
祖父達のお盆供養を忘れていたことに気がついた。
早速、お墓参りに行くことにしよう。
盂蘭盆経の教えです。
『善き人々よ、たとえば比丘、比丘尼、国王、太子、王子、大臣、宰相、三公、百官、万民、庶民にいたるまで、孝行をおこなう者は皆現在の父母から過去七世の父母のために七月十五日、仏が歓喜する日、僧たちの研修合宿最終日に百味の飲食を盂蘭盆の中に安置し十方の研修合宿終了の僧たちに施しなさい。現在の父母については寿命が百歳まで無病であり一切の苦悩の患いがないよう、また七世の父母にいたるまで餓鬼の苦しみから離れ天界に生まれ極まりのない福楽を得るように祈念してもらいなさい』
【高松大学紀要 「盂蘭盆」考 赤松孝章先生】
ありがとうございました。