excuse me | 「ゆるりと仏教」いも掘り坊主の与太話

「ゆるりと仏教」いも掘り坊主の与太話

「念死念仏 常途用心」
仏さまの御教えを、拙僧のエッセイとともに紹介しています。
ほとんど与太話(^_^;)ですが、法話らしきものも書いています。
つたない文章ですが、笑ってもらえたり、うなずいてもらえたりしたら嬉しいです。
毎週水曜日に更新しています。

久しぶりに皇居に行った。

 

目的地は式部職楽部である。

 

雅楽の先生にお届けものをするためだ。

 

日比谷駅から大手門へ向かうことにした。

 

皇居外苑の芝が綺麗に手入れされていた。

 

ゆっくり歩く。

 

気持ちがよい。

 

やがて門につく。

 

「え?」

 

驚いた。

 

門前に行列ができていたのだ。

 

50人くらい並んでいた。

 

理由は、各入場者へ行う荷物検査だった。

 

「約束の時間に間に合うだろうか」

 

自分の下調べが不足していた。

 

焦りがつのる。

 

ようやく自分の番が来た。

 

カバンを開ける。

 

「what is this?」

 

警察官から英語で話しかけられた。

 

(これは荷物です。式部職楽部の先生に届けるための)

 

なぜだろうか。

 

一瞬、回答を英語に変換する思考が働いた。

 

(無理だ)

 

しかし、こんな複雑な用語を英語で伝える能力はない。

 

「式部職楽部の先生に届ける荷物です」

 

そこで、きっぱりと日本語で答えた。

 

「あっ、日本の方でしたか」

 

(……。)

 

どこの国の人にみえたのだろうか。

 

自身はこてこての日本人だと自覚している。

 

でも、そういえば……。

 

数日前も突然英語で挨拶をされたのだった。

 

テニスコートでのことだ。

 

最近、早朝練習に行くことがある。

 

近所の「おじさんテニス愛好家グループ」に混ぜてもうことができたのだ。

 

そこで声をかけられた。

 

もちろん日本の人からである。

 

「good morning」

 

冗談なのか。

 

本気なのか。

 

初対面の人だったのでわからなかった。

 

(good morningくらいなら言えるけれども)

 

そこで、迷いながらも日本語で答えた。

 

「お、お、おはようございます」

 

「なんだ、インドの人かとおもったよ」

 

(……。)

 

私が坊さんだと知っていたのだろうか。

 

そうだとすると、まずます本気なのか冗談なのかわからない。

 

ところで、皇居では無事、先生に荷物を届けることができた。

 

時間通りに到着できた。

 

さて、その帰り道、再び英語で声をかけられた。

 

「excuse me. please tell me the location of Ninomaru」

 

このような質問だった思う。

 

今度は、ご年配の白人女性だった。

 

「sorry. I don't know」

 

私にも使える簡単な英語で答えた。

 

(二の丸はどこか)

 

さすがにこのときは、日本人として話しかけられたのであろう。

 

 

《唯識三十頌》に以下の御教えがございます。

 

『(第一偈)由假説我法 有種種相転 彼依識所変 此能変唯三』

【訳〈まさに自己という実体としての存在と、その存在規範に関しての言語によるさまざまな虚構が行われるが、それらは識が変容する場合においてであり、しかも識の変容は三種である〉大正大学出版 唯識三十頌を読む 廣澤隆之先生著P25】

 

〔解説 自分と「考えられている自分」は、煩悩に満ちた意識がめぐらすことばによって虚構されているにすぎないのであり、そのような自分に執着することへの反省を促すのが、「唯識三十頌」の冒頭の一句であることに留意しておこう[同上P31]〕

 

ありがとうございました。