祈り | 「ゆるりと仏教」いも掘り坊主の与太話

「ゆるりと仏教」いも掘り坊主の与太話

「念死念仏 常途用心」
仏さまの御教えを、拙僧のエッセイとともに紹介しています。
ほとんど与太話(^_^;)ですが、法話らしきものも書いています。
つたない文章ですが、笑ってもらえたり、うなずいてもらえたりしたら嬉しいです。
毎週水曜日に更新しています。

憂鬱な気分になる日は多い。

 

たとえば、五日前は鳥の糞が右肩に落ちてきた。

 

街路樹もなかった。

 

電線もなかった。

 

飛んでいる鳥にやられたのだ。

 

三日前、コンビニでドーナツの菓子パンを買った。

 

少しかたかったので袋を強く引っ張った。

 

勢いよく開いたものだから、ドーナツが半分地面に落ちた。

 

一昨日、牛乳と玉ねぎを買いにスーパーへ向かった。

 

いつもと反対方面のお店に行ってみることにした。

 

店の前に着くと、白い紙がすべてのガラス全面にはられていた。

 

閉店したらしい。

 

あわてていつものスーパーへ急ぐ。

 

「本日、定休日」

 

シャッターに札がかかっていた。

 

悲しくなったので、家に帰って撮りためてあったサスペンスドラマをみることにした。

 

ますます気持ちが沈んできてしまった。

 

仕方なく机に座り、外を眺める。

 

ラジオをつけていたが、内容が入ってこない。

 

かわりに、昔の嫌な思い出がよみがえってくる。

 

初めて鳥に糞をあてられたのは、高校のときだ。

 

友人達と遊びに行った遊園地でやられた。

 

左の二の腕だった。

 

服に糞がついたまま一日を過ごすはめになった。

 

友達には笑われるし、食事をする気にもなれないし、全く楽しくなかった。

 

二度目は修行中だ。

 

早朝、皆で一列に並び、外からお堂に入いろうとするときだった。

 

黒い衣に白い糞はあまりに目立つ。

 

しかも、衣では洗えないではないか。

 

テニスの大切な大会にでたときは、シードからはずされた。

 

「僕の方が順位は上のはずですが」

 

本部の人に確認した。

 

第八シード選手のランキングが私より下だったのである。

 

「間違えました。でももう試合が始まってしまったので訂正できません」

 

何度も交渉したが再組み合わせをしてもらえなかった。

 

おかげで初戦は第二シードと戦うこととなった。

 

あえなく一回戦で敗退した。

 

「決起集会をするからお前も必ずこいよ」

 

大法要を勤めるにあたり、読経役、奏楽役で前の晩に食事会が開かれたのだ。

 

「では、明日への意気込みを」

 

ひとりずつ、一言述べることになった。

 

私のばんになった。

 

「すみません。私はなにも役をいただいていないのですが……」

 

瞬時に辺りの空気が冷たくなった。

 

「あっ、ごめん。当てるのをわすれていた」

 

いいんです。

 

なれています。

 

居るんだか居ないんだかわからないやつなのです。

 

「いかん」

 

このまま机に座っていると、気分が沈んでいくばかりである。

 

こんなときは、ノートに小さな願いをたくさん書き出す。

 

そして仏さまにお祈りをする。

 

私の業は深い。

 

願いはかなわないものが多いであろう。

 

でも、少しだけ気持ちが前向きになれるのである。

 

 

法然上人の御教えに、以下のお言葉がございます。

 

『(ある人)「願いごとが叶わない時、み仏を恨むのはいかがでしょう」。(法然上人)「お答えします。恨んではなりません。ご縁によって、信心の有る無しによってみ仏のご利益はあるものです。今生のことも、後生のことも、み仏におたのみするよりすぐれたことはありません」』

 

【法然上人のお言葉3 浄土宗総合研究所編p372】

 

ありがとうございました。