親しくしていただいている仏具屋さんに伺った。
「墓線香を千本お願いします」「御檀家さんのお位牌を作製していただけますか」「仏像の修理をお願いでますか」
普段は、このようにして電話でお願いをした後に、お寺に来ていただくことばかりである。
お店に伺うのは新鮮であった。
店内に入ると、仏壇が沢山展示されていた。
様々なかたちの仏壇があったので、少し拝見させてもらう。
昔ながらの厨子型はやはりどっしりとした構えで安定感がある。
一見すると家具のようにもみえる仏壇は、「モダン」と書かれてあった。
白木で作られていて、とてもシンプルな装飾である。
清楚な感じが伝わってくる。
ガラス製のものもあった。
サイズは現代の住宅事情に合うようにと小型であった。
透明なガラスでつくられたものも、磨りガラスでつくられたものもある。
いずれにも繊細さが感じられ、お洒落な雰囲気だ。
少し前までは、信徒さんのご自宅に伺って読経を勤めることもそれなりにあった。
そうすると、立派な仏壇がきちんと設えられているものだった。
近頃は、「仏壇を設えられる場所がないので」と、相談を受けることが増えている。
そんな時は、お位牌をお寺でお預かりすることとなる。
確かに新しいマンションだと、和室や仏間がそもそもない場合がある。
仏壇を納めうるスペースはないかもしれない。
それでも、お店に展示してあったような小型のものや、デザインが現代風になっていれば、最近の住宅にも設えられるであろう。
仏具屋さんのアイディアには恐れ入りました。
ただ、マンションでお香を焚くのは難しいのかもしれない。
火事になったり煙探知機が作動しては困ってしまうからだ。
お経には、仏さまを供養する際にはお香を焚きましょう、と確かに書かれている。
しかし、「無理なときには、心を込めつつ臨機応変に対応すればよい」といった教えもありますね。
法然上人のお言葉に、以下のお言葉がございます。
『問い。花や香を仏にあげますことは。(法然上人の)答え。明け方早く起き、供養法にもとづき必ずお参り下さい。花は花瓶に挿してもよいし、散らしてもよいですから飾って供養しなさい。香は必ずたくようにしなさい。都合悪くできないときは、仕方ありません』
【春秋社 法然上人全集第三巻 大橋俊雄先生著p249】
ありがとうございました。