米粒名号 | 「ゆるりと仏教」いも掘り坊主の与太話

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「念死念仏 常途用心」
仏さまの御教えを、拙僧のエッセイとともに紹介しています。
ほとんど与太話(^_^;)ですが、法話らしきものも書いています。
つたない文章ですが、笑ってもらえたり、うなずいてもらえたりしたら嬉しいです。
毎週水曜日に更新しています。

先輩のお寺で米粒名号について話をした。


米粒名号とは、「南無阿弥陀仏」と記されている米粒のこと。
 

大正時代の高僧・山崎弁栄上人が最初に書き始め、「阿弥陀さまのご加護がありますように」と多くの人に渡したそうだ。
 

現在も書いている和尚さまがいるが、初めてその姿をみたときは「どうなっているんだろう」とビックリした。

 

と同時に、無謀にも「書いてみたい」と思い和尚さまに手解きをお願いした。
 

先輩のお寺では手短に説明をすませ、「論より証拠」、早速その場で書くことにした。

 

とは言うものの、人前で書くのは初めて。

 

私は大勢の信者さんに囲まれる。

 

「上手く書けるかな」と手が震える。

 

「失敗したら恥ずかしいな」と不安にもなる。

 

気持ちを落ち着かせるために、ゆっくりと筆と米粒を机に用意する。

 

すると、「当たり前だけど、米粒小さいな」とどこからか。
 

そして、皆がザワザワしはじめると、「みなさん、繊細な作業ですのでお静かに」と先輩が。

 

しかし、気遣いをしてくれたのは有り難いが、「イヤイヤ、静かすぎると返って緊張しちゃうよ……。」と心の中で。

 

いよいよ、静寂の中で書き始める。
 

しばらくすると、私の隣にいた男性にその近くの女性が「あなた鼻息荒いと、お米が飛んじゃうから気を付けなさいよ」と小声で。

 

その言葉で一気に皆が和やかな雰囲気となり、私の手の震えも収まった。

 

無事書き上げ、皆さんに虫眼鏡で確認してもらうと「鳥肌立っちゃう」と興奮気味に喜んでもらえた。
 

「ホッ」とした。
 

皆さんが帰る際には、事前に用意しておいた「米粒名号お守り」を全員に渡した。

 

「うれしい」、「ありがとう」と、再び喜んで頂けた様子。
 

念仏を称えることは、阿弥陀さまに救っていただくための大切な行い。

 

私は、説教ができたり読経の声がよかったりするわけではないので、何か別の方法で大切な行いを伝えられたらよいな、と考えている。

 

米粒名号がその1つとなるのであれば、僧侶冥利につきる。
 

皆さまに仏さまのご加護がありますように。

 

 

《観無量寿経》に、以下のような御教えがございます。
 

『「よくよく知っておけ。もし念仏する者は、この人こそが〔煩悩多き〕人々の中に〔咲く、汚れなき〕白蓮華〔のよう〕である。〔そして〕観世音菩薩と大勢至菩薩がその人のすぐれた友(勝友)となるのである。〔未来には〕悟りを開く座に坐るべく、諸仏の家系に連なるのである」〔そして最後に〕釈尊は阿難に仰せになった。「汝、〔今、私が説き示した〕この教えをしっかりと胸に刻み込め。この教えを胸に刻み込めとは、無量寿仏の御名を胸に刻み込め、ということに他ならない」』


【現代語訳 浄土三部経 浄土宗総合研究所編p226】

 

 

ありがとうございました。