一目ぼれしてバッグを買った。
いや、ほんとは小銭入れが欲しかったのよ。
んで、シャレたお店を発見し、
「シックでいーじゃないの」って思っていたら、ちょうど私が店内にいたタイミングで、ある一点が入荷してきた。
それがコレだ。
クーズ―という南アフリカの野生動物(ウシ科)の皮を使ったショルダーバッグ。
なんというか、一目見て気に入り、そして実際に触れてますます「これは好きだ」と感じたので迷わず買った。
聞けば、野生動物なので、傷があるらしい。
そりゃそうだ。
よく見ると、

これも
これも傷だ。
傷だらけの本革である。
ただ、この傷が気にいった。
傷を隠してないデザインもいいと思ったのだ。
生きていれば傷がつく。
心があれば傷がつく。
いちいち傷つく。
ただ、それはもはやだんだんと習慣化し、耐性がついてきて、やがてあまり痛くなくなる。
小さな傷でも痛い痛いと泣き喚いていた、ずうっと昔が嘘のようだ。
血が止まり、乾き、かさぶたになり、そのうちただの傷跡と化していく。
慣れる……一体いいのか悪いのか。
明確にはわからない。
ただひとつ言えること。
私にとって、傷跡は勲章なのだ。
だって、それをなんとかかんとか乗り越えたということだから。
傷跡を見れば思い出す。
あんなことこんなこと。
汚れちまった悲しみに。
ああ、傷跡だらけの人生さ。
ただ、急所は外して致命的になってない分だけ、私は運がいいのですよ。
ふふふのふ。
ま。
だから私は、この傷があるバッグに惚れたのかもしれない。
おい、バッグ。
今日このタイミングで、たまたまこのお店に入らなければ私たちはきっと出会っていなかったぞ。
大事にするよ。
これから、一緒に暮らしていこう。
私の人生はけっこうハードだが、どうか伴走しておくれ。
久しぶりにいい買い物をした。
余は満足じゃ。
ではでは。