RX-0で運用することを前提に、機体と同時開発されていたAA(アームド・アーマー)シリーズ。



 

 省略表示された4種のAAの内、VN(ヴァイブレーション・ネイル)、BS(ビーム・スマートガン)は、その省略名称の意味が明確に設定されているが、後発のDEとXCは正式名称が定まっていない。



 

 んで、DE以上に、謎が多かったのが、XCだった。


 

 DEは、サイコフレームでできた本体に、メガキャノンと追加スラスターを装備したシールドだった。

 

 だが、XCは、追加ジェネレーターと、増加サイコフレームを搭載した増備ユニットと言うことで、良く分からない要素が満載な装備だった。


 

 劇中を見ている限りだと、リディが認識しているには、サイコフレームを上乗せさせる装備のように捉えていた。


 

 だが、これは、他のAAと違い、根幹となるモノがU.C.世界における最大の謎であるNTに関わるサイコミュに行き着くため、非常に危険な香りが伴う謎な装備だ。




 

 UC世界の連邦式のサイコミュと言うと・・・ジオン以上に、非人道的な要素が思い起こされる。




 

 連邦式NT能力の利用法。

 

 それ即ち、スペースノイドを黙らせるための道具。

 

 地球連邦と言う、宇宙に生息圏を拡大するのではなく、地球に引き篭もり閉塞すると言う間違った方向に傾いた“神”の磐石なる支配を護るための武器。

 

 人類の革新さえも、自己の権益を護るための武器にしてしまうと言う、狡猾さと愚かさの象徴。


 

 これはどこから始まったのか・・・。





 

 それは、本日発売の機動戦士ガンダム U.C.0094 アクロス・ザ・スカイ 第4巻で、明かされた。


 

 1年戦争と言うある意味において革新が起こった戦いから8年後のU.C.0087のグリプス戦役。
 連邦におけるNTの軍事利用の方針が確立されたと言っても良い戦いだった。



 

 この物語における謎だった連邦製サイコミュ“ナイトロ”の正体。



 

 それは、あの2機の巨大MSを安定稼働させるためのOSの試作品だった。


 

 そう、グリプス戦役を代表する、連邦製サイコミュマシーン。

 

 MRX-009 サイコ・ガンダム


 

 あの黒い巨人を安定して稼働させるための・・・。




 

 Zガンダムの劇中で、サイコ・ガンダムは、安定して稼働していたかと言えば、そうではなかった。


 

 搭乗し操縦する強化人間が常にコンディションが不安定で、安定して戦うことができたかと言えば、そうではなかったからだ。

 

 これは、1号機である009もそうだが、キリマンジャロで撃墜された009の2号機を強化改造してでっちあげたMRX-010 サイコ・ガンダムMk-IIはそれ以上に安定していなかった。(むしろ、ネオ・ジオンの手に落ちたときの方が安定して稼働していたところを見るあたり、流石、ジオンと言わざるを得ない。)

 

 これもすべて、搭乗する強化人間に問題があった。

 

 だから、これを安定させる必要があった。


 

 そう、C.E.世界の生体CPUをもっと機械的に制御した存在にしないと、安定稼働させることなどできなかったのだ。


 

 つまるところ、“ナイトロ”とは、システムの力を利用して強化人間をシステムに無理やり同調させることで安定稼働を図ろうという狂気の体現なのだ。

 

 A.C.世界の5人のトンデモ博士たちが作ったゼロ・システムの同類と言ってもいいだろう。



 

 おそらく、この“ナイトロ”に関しては、この巨人を開発したムラサメNT研究所や改修に関わったオーガースタNT研究所とそこの連邦軍工廠、後はその資金を出していたティターンズが開発を進めていたのだろう。

 

 事実、アクロス・ザ・スカイにおいて、その由来と実物・・・旧ティターンズ製兵器の隠し場所となっていたオーストラリアのデビルズ・ネストに、その試作システムを積んだ実験機が複数とそのOSのデータが残っていたことからも、間違いはないだろう。


 

 だが、これがすべての始まりか?


 

 おそらくそれは違うだろう。

 

 1年戦争中もう既にこれと同じことをやっていたのだ、連邦は。


 

 そう、機動戦士ガンダム外伝ミッシングリンクに登場したRX-80PR ペイルライダーに搭載されていた特殊OS“HADES”だ。

 

 アレも、機械に人間を従わせるという方式を採っていた。

 

 アレの場合は、システムに適合した人間でないと動かすことはできなかったが、着想としては、十分ではないかと思われる。


 

 実際、RX-80PRとHADESの開発を行っていたのは、オーガスタ工廠だったので、この機体の開発に携わっていた研究者が、ナイトロの開発に参加していた可能性は十分にある。


 

 ここで気が付いて、面白いと思ったのが、ナイトロとNT-D、ガンダムU.C.において、この2つの連邦の権益を護る武器のルーツが、1年戦争当時に既に存在していたということ。


 

 ナイトロは、HADES。

 

 NT-Dは、EXAM。


 

 そして、これらの行き付く先は、UC計画。

 

 両者ともに、運用方法が違えど、その目的はジオニズムの体現であるNTを駆逐すること。


 

 どれだけ連邦が、ジオニズムが持つ“ラプラスの箱”に記された真実の体現を恐れていたことか・・・それが、窺い知れる話である。



 

 アクロス・ザ・スカイで、デルタカイに搭載されていたのは、グリプス戦役のティターンズ敗北と言う幕引きによって開発凍結に陥ったナイトロを極秘開発した物らしい。

 

 開発部隊の責任者、ロック・ホーカー大佐とその副官の名無しの少佐は、ナイトロの由来も知っていたようだし、レイヴン隊のピコ・アルティドール少佐も一部ではあるがそれを知っていた模様。

 

 そして、アクロス・ザ・スカイの終わりにホーカーが登場した際には、One of seventy twoで登場し、バンシィを中破させて暴走した後、行方不明になっていたRX-0-3 フェネクスがアームドアーマーXCを装備した状態で出てきた。
 どうやら、正式にナイトロの開発凍結が解除されたようで、アクロス・ザ・スカイのU.C.0094からU.C.0096の間に、ナイトロに関する情勢は変わったらしい。

 

 まぁ、そうでないと、ナイトロが搭載されたアームドアーマーXCがRX-0の正式装備になるとは思えないのだが・・・。



 

 アームドアーマーXC(ナイトロ)がもたらす効果は、OTとNTは全く異なるようだ。

 

 ただのOTが使えば、このシステムの効能通り、システムに引き込まれて、戦闘マシーンになる。
 アクロス・ザ・スカイのイング・リュードや前任者のテストパイロットが良い例だ。
 特に、イングに関しては、ホーカー曰く「適応しすぎる」そうである。


 

 あと、NT能力の低かった覚醒前のリディもそうだろう。

 

 まぁ、彼の場合は、バナージたちへの憎悪も相まって、それがナイトロの効能で強化されたというのもあったのだろう。

 

 戦闘中にバナージが言った「あなたはシステムに取り込まれている!」と言うのはNT-Dのことをバナージは指していたのだろうが、実はこのナイトロが搭載されていることが事実ならば、2つのシステムに取り込まれていたので、その通りだったのだろう。


 

 だが、これがNTと思しき者が使うと・・・システムに取り込まれる危険性は常にあるものの、純粋に、そのパイロットを補佐するモノに変わっているようにも思える。
 例えるなら、ゼロ・システムを克服したミリアルドを含む、ガンダムパイロットたちのような感じかね?
 ブレイア・リュードが、デルタカイに搭乗した際にそうなった。

 

 これに関しては、ホーカーも予想外だったようだ。


 

 “NTを殺すための道具”をNT使った結果・・・開発側も想定していない予想外なことが起こる。

 

 まるで、ユニコーンガンダムのようだ。

 

 これだから、謎なのだよ、NT絡みの事象は。

 

 まぁ・・・それが、集約されているのが、1stシリーズのピリオドを打つこのガンダムUCなのだが。



 

 アクロス・ザ・スカイは、これで終わりではないようで、最終話で舞台がU.C.0096に移り、ホーカーを止めるために、ブレイアたちフレスベルグ隊とピコたちレイヴン隊が合流して、宇宙で決着をつけるような終わり方になった。


 

 おそらく、ホーカーの手にあるフェネクスを破壊するのだろう。


 

 ここで、デルタカイとフェネクス。

 

 ナイトロとNT-D(+ナイトロ)の決着がつくことなるんでしょう。


 

 続きがあるなら期待です。