サンタ苦労物語 その2:vsカガク少年 | 犬小屋チャンプルー

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犬己那池の、オリジナルの小話やイラストをもさもさ更新するブログ。
最近は、歴史創作(南北朝~戦国時代)がメインになっています。

トナカイの心配など露知らず、少女サンタは張り切って二階の窓を開けた。

「お邪魔しまー」

「やっと来たな! 待ちくたびれたぞ」

部屋の中に入った途端、明かりがついた。

少女サンタは眩しさに目をしばたかせながらも、声の主を探す。

果たして、ベッドの上に腕組みして仁王立ちになっている少年がいた。

その彼が、余裕たっぷりに口を開く。

「お前は何者だ?」

「見ての通り、私はサンタクロースよ」

少女の答えに、少年はベッドの上を飛び上がらんばかりのガッツポーズをした。

「よっしゃあ! ホワイトコーヒーを飲んで粘ってた甲斐があったぜ」

「何よ、ホワイトコーヒーって」

ブラックコーヒーならまだしも、ホワイトコーヒーなど聞いた事がない。

首を傾げる少女サンタに、少年はよくぞ聞いてくれたとばかりに答える。

「フフフ、ミルクと砂糖をたっぷり入れた、俺専用特製コーヒーだ」

がくっ。

得意げな彼の言葉に、少女サンタの膝の力が抜けた。

「ってか、子どもがこんな夜中まで起きてちゃダメじゃない」

「仕方ないだろ。フウカの奴に『サンタクロースなんていない』ってことをカガク的にショーメイするためなんだから」

言って、少年はまじまじと彼女の姿を見た。

「しかし、本当にいるとはな……」

「だからってこんな時間まで起きてたら体に悪いわ。成長ホルモン、だったっけ? 夜早く寝ないと、それが正常に分泌されないらしいよ」

いつだったか、トナカイが言っていた言葉を思い出して、少女サンタは彼に注意する。

途端に、少年の顔色が変わった。

「ま、マジか?」

「マジよ(たしか)。」

この少年、科学的なアプローチには弱いらしい。

と、ここで少女サンタの頭の中にひとつのアイデアが浮かんだ。

「眠りたいけど眠れない。そんな君には、これをプレゼントしよーう!!」

ドラムロールとともに、彼女が袋の中から取り出したのは……

「安眠枕ーーーーー!?(汗)」

「イエス☆ それじゃあ、いい夢をっ」

リアクションに困っている少年にそれを押し付けると、少女サンタは風のように去っていった。

「あ、コラ、待っ……Zzzz」

慌てて追いかけようとする少年だったが、にわかに夢の国へと旅立っていってしまった。

それはコーヒーが切れたせいか。それとも、クリスマスの奇跡か……

いずれにしろ、枕を抱いて寝る少年――ヒカルの顔は安らかだった。


 ***


最近、よく居眠りしてしまいます。

寝すぎも体に悪いのに……(汗)。


関係ないけど、タイトルは「サンタクローストーリー」と読みます。