仕事初日。

楽しくてしょうがない。これからやる事業のことも。全て。

笑うしかない。これは、僕が仕事を始める度に言う言葉だ。僕も、この言葉にはもう飽き飽きしているのが事実。心の中で問う。また、折れるのではないか、と。そう。自分でも自分を疑っていて、信用などしていないんだ。自分が自分のことを信用できなきゃ、誰も信用してくれない。わかってる。

こんな気持ちになったのも、こんなに自分を疑うのも、この後先もないだろう。終わってる。

だが、今は底辺だ。しかもそれも最底辺。金もなければ、身の回りのものが気付いたらない。そして君も。あるのはちょっと頑張れば返せるほどの借金のみ。あとは、何もない。

今日着て行った服は、ほのかに君の匂いがした。17日に取りに行った時のポロシャツ。今日はやけに暑く、汗ばんだ体にシャツの匂いが染み込んだ。不安がよぎった。よぎり過ぎた。新しく彼氏がいたら、新しい彼氏の横で寝てる、笑って過ごしてるのかも。もしくはそうなる未来なのかも。帰りにも思う。君の家の近くを帰るたびに思う。会えそうで会えない距離。いつものように、何の気なしに出迎えてくれる君は、遠く、異世界に居るようだ。僕は悪く言えば、遠い、刑務所に居るよう。連絡も面会もしてくれない、僕が悪いことしてるのはわかってる。刑期が終わっても、誰も出迎えてくれない。待ってたのは、誰もいない、信用のない世界。君が待つのは、安定した温かい望んでいた世界。

この相反する世界に僕は、仕事中も帰り道も、実は昨日の夜も頭に浮かんで2時まで寝れなくて、絶望した。

312日間、僕は何を思って何を糧に生きればいいのかと。

312日後、僕は何を思って何の為に生きればいいのかと、問いたい。

全ては約束の日に。

約束の日まで、まだ312日...