こないだ店で面白いことがあったんで書いとこうかな?
今くらいの時期になると毎年訪れるお客様。
それは坊主(丸刈り)が伸びた高校三年生。
そういう子らがおずおず入ってくるとすぐわかるんですわ。
「あ、この子ら野球しとった子やな、ほんで部活終わった(引退した)から髪伸ばしてるんやな」って。
こういう子らは普段は散髪屋に来ません。
家でおとーさんかおかーさんにバリカンで刈ってもらってます。
なんで中学から数えると約5年半は家で丸刈りにしてるんで散髪屋に来てどう注文していいかわからんのです。
まぁ、でも上はまだ短くて裾の方が伸びてるだけやから、上や前は置いといて横と後ろだけ刈ってやるんです。
で、こないだ一日にそういう子らが4人来たんやけどその中の一人。
「上伸ばしたいんで…」
「オーケーオーケー!じゃあ裾だけ刈ってやるわな」
と、お決まりの会話を交わして刈り進む。
「で、どこで野球しとったん?」
「〇〇高校です…」
聞くと彼の高校はかなりの弱小高で、毎年部員不足で他の高校と合同チームを組んだり、試合に出られない年もあるのだが、今年は助っ人を頼んで何とか単独チームで出場できたらしいが、予想通り一回戦コールド負けしたそうだ。
この子も身体も大きくないし、おとなしそうで真面目そうな子やからそんなに上手でもないかもな。
「それで、髪伸びたらどんな髪型したいん?」
「いや、僕夏の大会前までは髪伸ばしとったんです、うちの学校、別に坊主強制やないんで」
「あ、そうなんや!」
「大会前までは伸ばしてツーブロックにしとったんです」
「ツーブロックかいな!でもなんで坊主にしたん?」
「いや、最後の大会やから気合入れようとして5厘刈にしたんです」
「ホンマか~、でも助っ人まで坊主は強制できんやろ?」
「あ、坊主にしたん僕だけです」
「自分だけかいな!」
「はい…」
なんと他の部員は誰も坊主にせず、この子だけ自主的に5厘刈にしたんだと!
それって…どうなん?(笑)
まぁ、でも自分が納得してればいいかな?
何も強制されたわけじゃないんだし。
でもこの子なかなか面白い子やな(笑)
この夏の甲子園はご存じの通り、「非丸刈り高」の「慶応高校」の優勝で幕を閉じた。加えてベスト8に残った高校のうち3高が「非丸刈り高」であったという。
これ見たらみんなツーブロックにしてる(笑)
つまり、もう「髪型」と「強さ」は関係ないことが証明されてしまったのだ。
この夏をきっかけに全国の中学、高校野球部に急速に「非丸刈り化」が進むものと考えている。
香川代表の英明高校も「丸刈り強制」ではなく「丸刈り禁止」になって久しい。
また、私の住む坂出市の4つの中学の野球部では以前より丸刈りではなくなっている。
そういう子らが高校に上がって野球を続けようとした時、丸刈りにしないといけないとなれば入部を躊躇する子がいてもおかしくない。
少子化で各学校、部員不足に悩まされている昨今、そういう事態は避けたいだろう。
若い人は知らないだろうが、45年ほど前までは私の住む坂出市では野球部に限らず、男子中学生は全員「丸刈り」だった。
今では考えられないがそういう時代もあったのだ。
当時小学生だった私は近所の中学のお兄さん達から「お前も中学入ったら坊主やぞ!」とよく脅されていて、その度に暗い気持ちになっていたのだが、私が入学する数年前に丸刈り強制は廃止になったおかげで丸刈りになるのは避けられたのだ(笑)
当時何故丸刈り強制だったかというと、一度丸刈りを廃止してしまったら華美にエスカレートするのではないか?という危惧があったという。
野球部員の頭髪に関しても同じ事が言えなくもないが、さすがにカラーリングやパーマは禁止してもそれ以外の髪型は自由でもいいと思う。
ある野球強豪校に息子さんを通わせていたお客様がこうおっしゃっていた。
「丸刈りじゃなくなるのは別にいいんだけど、毎日遅くまで練習があるし、休みもないから散髪屋さんに行く時間がないんですよ」と。
強豪校ともなると練習が休みになることも少ないし、遅くまで練習があるから、家で散髪できるのはそういう点から見てもメリットがあるんだな。
家で刈らずに店に来てもらえるならありがたいが、そう単純な話ではないみたい。
「働き方改革」じゃないけど髪型だけでなくそういった改革?も必要なのかも知れないね。
さて、来年以降の甲子園がどんな風になっているか?
試合も楽しみだが、球児の髪型も注目だ(笑)