六甲山の妖怪(?)
 コロナウイルス感染を避けるためにたくさんの市民が六甲山に登り、歩き始めた。そんな市民をピンク色のつつじの中から温かく見つめる妖怪がいるとしたら楽しい。自然破壊から生まれるウイルス。そのウイルスから守ってくれるのも自然。 妖怪曰く「人間も自然の一部。これはまちがない」。

 

 

 

 

       「教員同僚いじめ」第三者委員会の報告を検証する
          本当に神戸市教育委員会は変われるか
           

 はじめに
 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府は全国の都府県を対象に、法律に基づく「緊急事態宣言」を発令しました。安倍首相は、国民に対して「生活の維持に必要な場合を除き、みだりに外出しないよう要請すべきと考えます」とした上で、「社会機能を維持するために必要な職種を除きオフィスでの仕事は原則自宅で行うように」と訴えています。
 それに応えて(?)、日曜・祭日、平日もほとんど家に引きこもり状態にあるので、少し面倒なことをしてみました。それは神戸市東須磨小の「教員間いじめ問題」に関わって発足した外部調査委員会(「調査委員会」)の長い長い報告書を読むことでした。
 問題発生直後、全国のマスコミはおぞましい映像が発信されたこともあって連日にわたり報道していましたが、「調査委員会」の報告書にはほとんどコメントすることなく報道を終えてしまいました。
 大切なのはこれから。
 報告書は問題の本質を明確にしているか?改善策は正しいか?を明確にせずしてはこの全国に衝撃を与えた教育史上未曾有の大問題は終わったといえないはずである。

1、久元喜造神戸市長のコメント

◯「神戸市ヤミ専従問題」では
 「長年にわたる組織ぐるみのコンプライアンス違反が、これまで是正されずに続けられたことの要因として、神戸市役所の閉鎖的風土や前例踏襲の風潮があげられます。今後このようなことが二度と起こらないよう、私が先頭に立って市役所改革を進めていき、一日も早く皆様の信頼回復を図りたいと思います」(2019・2・6)。

◯「教員間いじめ問題」では
 神戸市立東須磨小の4人の教員が同僚の男性教員に激辛カレーを食べさせるなどいじめていた問題で、「神戸市会本会議、定例記者会見 でも申し上げていますが、言語道断の行為であり、激しい憤りを感じるとともに、神戸市教育行政の信用を著しく失墜させたことは、極めて遺憾です。まずは、事実を明らかにすることが必要です。(中略)教育委員会とも協議し、外部の専門家から成る調査チームを立ち上げることにしました。当然のことながら、このおぞましい行為に及んだ教員に対しては、正確な事実関係に基づき、教育委員会が厳正な処分を行います。(2019・10・13)

◯「教員間いじめ問題」調査委員会の結論
 久元神戸市長の指示で発足した外部調査委員会(調査委員会)の報告書が本年2月21日に公表された。その内容は加害教員4人による陰湿な行為が125項目も列挙され、前校長に至っては校内で威圧的な言動を繰り返す「プチヒトラー」と称されるほど抑圧的学校支配がおこなわれていたというから驚きです

 調査委員会が指摘した問題
 ①加害教員らによる「ハラスメント」として規定し、その発生原因は個人的資質によるものとした。
 ②結果として状況を阻止できなかった本小学校の歴代の管理職の対応、姿勢に問題があったとした。
 ③市教委・学校の制度・体制上にも問題があった。
 
 調査委員会の再発防止提言
 ①採用からその後の育成、さらには管理職としての資質まで、教員個人の資質の向上が求められる。
 ②個人的な資質は自然に解決するものではないので、管理職からの通り一遍の研修では改善につなが らない。したがって、外部専門家による適切な研修を定期的に受講することが求められる。  
 ③良好な職場環境や人間関係を醸成するための有効かつ適切な人事制度の検討が求められる。

 「ハラスメント教師」たちへの処分
 本年2月28日、加害4教諭への処分が下された。加害4教諭のうち、2名の教諭が懲戒免職。残る女性教諭が停職3ヵ月、男性教諭を減給3ヵ月(10分の1)の処分が下された。同時に、管理責任を問われた現校長は減給3ヵ月(10分の1)、前校長は停職3ヵ月の処分が決まった。



違いをゆるさない心の底には憎しみがある。その憎しみは自分が自分に対する憎しみを投影しているらしい。  
金子 みすず 
①  わたしと小鳥と鈴と

わたしが両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが、飛べる小鳥はわたしのように、地面(じべた)をはやくは走れない。 わたしがからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど、あの鳴る鈴はわたしのように、たくさんなうたは知らないよ。 鈴と、小鳥と、それからわたし、みんなちがって、みんないい。 (金子みすず・大正時代末期から昭和時代初期にかけて活躍した日本の童謡詩人)

 

 

 


2、調査委員会の報告に問題はないか

◯原因を個人の資質に集約している
 報告書を読む限り、加害教諭に対する処分は妥当かのように思えるが、問題の主たる原因が当該する教諭たちの資質の問題として片づけられていることにいささか違和感を持たざるを得ない。
 資質というのは本来、生得的素質によって規定されている個人の潜在的可能性を性能または資質(capacity)というものであり、これに対して、一般に能力は,教育や環境などの後天的要因と素質的・生得的要因の複合の結果,個人の中に形成されるものであるとされており、資質に限定してしまうとこの加害4教諭は生まれつき教師の資格がなかったことになるが、それでよいのか?

 文科省は教師が備えるべき資質・条件を主に3つ上げている。
 ①教育的な情熱・真剣さ
  ②教育的力量を身につける姿勢
  ③総合的な人間力を高める姿勢
 生得的素質よりも教育環境により形成される後天的要因を重点にしている。

 調査委員会は神戸市の教職員の置かれている教育環境についての詳しい現状分析を行わず、当該小学校の関係者を被害者と加害者に区分けし、加害教諭からの聞き取りを詳細に行い、その行動と心理を分析している。「刑事捜査も並行しておこなわれており」(報告書第2)という状況も反映してか、それはまるで刑事犯罪を追及する検察官のようである。

◯神戸市の「ハラスメント研修」の問題点が明確でない
 社会常識を逸した「ハラスメント」が最も起きてはならない教育現場、特に教師によって引き起こされたにもかかわらず加害教員らはきちんとした「ハラスメント研修」を受けていなかったことが報告書において指摘されている。
 「ハラスメント」を防止するためには「ハラスメント研修」が必要なことはいうまでもありませんが、前提条件となる「ハラスメント」の本質である人権について歴史的、社会的、法的、文化的視点に基づき充分に理解されていなければならないことはいうまでもない。
 「神戸市以外の公共団体では、人権教育や同和教育のような基本的研修がもっとなされている」という他市での教員経験のある者からの意見に対して、調査委員会が神戸市教委の報告に基づき、「様々なメニューの研修が用意されている」(報告書第8)という認識で「人権教育研修」の内容に立ち入った検証を加えていないことには相当な疑問が残る。
 実際に、「安心・しあわせネット神戸人権交流協議会」が、毎年のように神戸市に対して「人権教育研修」の内容を説明するように要望しても、正式な回答は一度もない。本当に「人権教育研修」はなされていたのか?なされていたとしても極めて形式的なものではなかったか?という疑問が残っている。

◯調査委員会の報告書は久元神戸市長の意図に従った
 この問題に対する久元神戸市長の認識は前記のコメントから見ると以下のとおりになる。
 ①おぞましい行為。
 ②正確な事実関係。
 ③教育委員会が厳正な処分を行う。
 SNSを通じて「ハラスメント」の実際の行為が映像で日本中に拡散され、国民に衝撃を与えたことからいえば極めて人間としてはまともな認識であるが、市長という行政の最高権力者という立場から言えばいささか冷静さを欠いていたのではないか?正確な事実関係が明らかになっていない段階において「厳正な処分を行う」という強い発言は調査委員会の調査を加害教諭の「厳正な処分」へと方向づけることになり、問題の原因が加害教諭の資質に限定される結果となったのではないか。

※常識ブログ「『神戸市教員同僚いじめ問題』考えてみよう」(2019・11・21)を参照してください。↓をクリックですると記事が表示されます。






人は他人にやさしくなれる。それは言葉(言霊)があるからです。やさしい心をこめて言えば伝わる。
金子 みすず ②  
こだまでしょうか、いいえ、誰でも。

「遊ぼう」っていうと  「遊ぼう」っていう。  「馬鹿」っていうと  「馬鹿」っていう。  「もう遊ばない」っていうと  「もう遊ばない」っていう。   そして、あとで   さみしくなって、  「ごめんね」っていうと  「ごめんね」っていう。   こだまでしょうか、   いいえ、誰でも。

 

 

3、神戸市民は教師を守らなければならない

◯第三者機関は必要だがすべてを任せてはいけない
 第三者委員会とは、何らかの問題が起きたときに、当事者以外の外部の有識者によって危機管理体制の再構築を迅速、確実に行うなどの目的で問題を検証をする委員会のことである。
 企業や行政は不祥事が発生すると、「第三者委員会」「外部委員会」なとという第三者機関を設置する。理由は当該組織には危機管理能力がないこと、第三者である専門家に事実関係および問題の本質や課題を明確にさせることで、国民の信頼を回復させるためであるが、大体において組織全体の構造的な問題を洗い出し、根本的な解決策を提起することはなく、いつも提起される改善策は「トカゲのしっぽ切り」のような部分的な改善策である。
 私たちは第三者機関にすべてを任せ、その結論に従い問題を忘れてはいないだろうか?もしそうだとしたら極めて危険なことではないか?第三者機関は当該の行政が設置し、委員を選ぶからである。
 
◯教師の人権が守られなければ問題は解決しない
 教員間の「ハラスメント」は神戸だけの問題ではない。文科相の資料によれば2018年度に全国の公立小中高校などで教員間のパワハラなどで処分された者は32人に上る。 
 教育は国家の土台である。教員の多忙さが問題になる中、職場でのいじめが横行するようでは、教員のなり手と質を確保できない。再発を防止するための手立ては全国レベルで考えなければならない。 
 特に「人権教育研修」については、内部関係者同士による研修は「なれあい」と、外部の批判にさらされないために独善的になり、必然的に低レベルになる危険性があるので、外部専門家による適切な研修を定期的に受講することが求められる。

◯神戸市民が教育専門家にならなければ真の解決はない
 神戸人権交流協議会は小さな団体です。だから神戸市の教育行政に対して大した影響力はありませんが、毎年、教育委員会へ要望を提出し、懇談したり、ブログなどで意見を発信しています。
 今回の問題が発生した段階では、市民や多くの教師や教育団体が意見や声明を発していましたが、調査委員会報告、それに基づく加害教諭に対する処分についてはほとんどみるべき反応はありません。
 果たしてこれでいいのか?調査報告や加害教諭たちへの処分に対する自主的な検証が必要なのではないのか?今、神戸市民に求められているのは「教育のことはわからない」「専門知識がない」としり込みすることでなく、教育問題に関心をもち、自分たちこそが教育専門家であるという自覚を持たなければならないのではないか。

※常識ブログ「人間愛の欠落した人権教育は必要か―神戸市垂水区の中三少女自殺から​​」(2018・10・11)を参照してください。↓をクリックすると記事が表示されます。







世界は不思議なことで溢れている。だから楽しいし、愉快だ。でも楽しいと思うこと、愉快なことは同じでない。それを心に。    
金子 みすず ③    
不思議

私は不思議でたまらない、黒い雲からふる雨が、銀に光っていることが。 私は不思議でたまらない、青い桑の葉食べている、蚕(カイコ)が白くなることが。 私は不思議でたまらない、たれもいじらぬ夕顔が、ひとりでぱらりと開くのが。 私は不思議でたまらない、誰にきいても笑ってて、あたりまえだ、ということが。

 


4、神戸市教育委員会は「閉鎖的風土や前例踏襲の風潮」の中にいる
 神戸市教育委員会は果たして変わるであろうか?久元神戸市長はヤミ専従問題の解決に当たり、「神戸市役所の閉鎖的風土や前例踏襲の風潮があげられます。今後このようなことが二度と起こらないよう、私が先頭に立って市役所改革を進めていき、一日も早く皆様の信頼回復を図りたいと思います」と明言しています。
 しかし、教育委員会社会教育部は未だに全国でも例のない公民館の日曜・祝祭日の閉館を頑なに守ろうとしている。そこで今回は神戸市周辺自治体における日曜・祭日の活動を紹介して、私たちの要望が社会的な正統性をもち、神戸における自治・コミュニティの発展に貢献するものであることを立証することとする。

◯ニーズは教育委員会が市民に聞くもの、つくるもの
 公民館が社会教育法(平成25年6月14日 改正)に基づき設置、運営されていることはほとんどの人が知っています。この法律における「社会教育」とは、学校教育法に基き、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体育及びレクリエーション活動を含む)をさします。
 神戸市の公民館は日曜・祭日を休館にしていますので、働く市民を教育活動の対象にしていません。その理由は「市民のニーズがない」の1点張りです。
 そこで今回は神戸市周辺の公民館の日曜・祭日の活動状況を調べさせていただきました。                
◯明石公民館 (コミュニティセンター)
 やっぱりちがう、市民のためにやる気のある明石市
 これまでの公民館活動を受け継ぎ現在は小・中校区にコミュニティセンターとして衣替えして、地域
のまちづくり、スポーツ・文化活動・生涯学習、サークル、支援活動に取り組んでいます。休館日は、月曜日、祝日、年末年始。日曜は開館しています。 
 各コミュニティセンターに「公民館運営委員会」を設置し、地域の課題を踏まえ内容を検討している。高齢者大学、市民講座、郷土の歴史講座などを開催している。

◯西宮公民館―日曜日にはコンサート開催など、多彩な活動を展開しています
 休館日は年末年始のみ、これ以外はすべて開館している
 日曜にコンサートや郷土・日本・世界の歴史講座を行っています。コンサートにはいつも50名~60名が参加しています。

◯尼崎市公民館ー昨年より」指定管理「生涯学習プラザ」に委託
 休館日は祝日と年末年始。開館は月曜~日曜までしており、事業内容はコミュニティセンターとして多彩な活動を展開しています。 「公民館運営審議会」はありません。
  周辺都市では多彩に多様に市民のしあわせを考え取組みを進めています。
 神戸市の「ニーズがない」という態度は市民を見下しているようです。

※教文教ブログ「『教員同僚いじめ』は神戸市教育委員会の体質?​​神戸市立公民館に関する『回答』から見えてきた​​​」(2019・10・28)を参照してください。↓をクリックすると記事が表示されます。

https://plaza.rakuten.co.jp/kyouikubunka/diary/201910280000/

 

 

 

 

 

 

 

 

 近畿財務局職員の公務員の赤木俊夫さんが、上司の指示で決裁文書の改ざんに手を汚し、それを悔やんで命を絶った。赤木さんは、働きながら立命館大学2部で学び真面目な職員だったという。
 この事件の背景には、森友学園への国有地売却における8億円もの値引きという、通常ではありえないやり取りがあった。彼が遺した手記には、改ざんが「すべて、佐川理財局長の指示です」とあり、「学園に厚遇したと取られる疑いの箇所はすべて修正するよう指示」、「(会計検査院に)資料はできるだけ開示しないこと」と書かれていた。赤木さんは、上司の指示に涙を流しながら抵抗しましたが、何度も強要されたという。
 このたび、赤木さんの妻は、国と佐川(元理財局長)に損害賠償を求め提訴しました。彼女は一時、自死まで思いつめたと言います。どれだけ辛く苦しかったのかと察するに胸が痛みます。「私の夫、赤木俊夫がなぜ自死に追い込まれたのか。有識者によって構成される第三者委員会を立ち上げ、公正中立な調査を実施して下さい!」と、オンライン署名を募っています。私も、ネット署名に賛同しました。彼女が立ち上がらなかったら、この問題は闇から闇へ葬り去られたでしょう。赤木さんが残した手記、そして妻が立ち上がったこと、ここに人間の尊厳を見る思いです。
 「最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ。手が震える。恐い。命 大切な命 終止符」。真面目で正直で弱い立場の人が、いつも犠牲になっている、こんな不条理は許してはいけないのです。