週末は、美術館の今シーズンの閉館に伴う展示作品の

入れ替え作業のお手伝いで一路軽井沢へ。

お客さんのいない美術館にて、マーケットで数千万円するほどの

作品を間近で鑑賞できることのできるといった特典はあるものの、

100号を超える重たい作品を抱えながら、美術館の端から端まで何度も

往復する単調な作業は、徐々に脱力感を伴う疲労が蓄積する。

作業終わりにスタッフと酒を飲み、温泉でカラダを休め、

その後熟睡したとしても、十分に疲労は抜けないまま

朝を迎えることになる。


そんな状態で、重い体に鞭打ちながら、初冬の軽井沢をランニング。

外気に触れる肌には突き刺すような寒さを感じ、

吐く息は当然のことのように濃白で、そして大きい。

更に、油断してると上唇に鼻先からたれた水分が触れる。

ただ、走っていると寒さに萎えるわけではなく、

寒さは人を立たせてくれるような効果があるように思う。

感覚が鋭敏になり、得られる情報すべてが新鮮に感じる。

空気が、いつも以上においしく思える。

風きり音が、より鋭く聞こえる。


軽井沢の名所(自分はそうは思わないけど)とは言え、

さすがにこの気温では、雲場池に人影は見当たらない。

何人たりとも邪魔をしない環境で、鴨の群れが気持ちよさそうに

いまだ凍っていない水面を漂っている。池の周囲を取り囲む

舗装されていない遊歩道には霜が降り、踏みしめるたびに

シャリッシャリッと柔らかいガラスを踏んだかのような

華奢な音が楽しく、同時に懐かしさも感じる。

走食美男子


季節はずれの軽井沢銀座にも、早朝となると、やはりひと気はない。

開店の準備をしているのか、所々コーヒーの香りや

昼食の仕込みと思われるような暖かい香りが鼻を

くすぐり、自分が空腹だということに気づかされる。


美術館に戻った後は、シャワーを浴び、朝食を食べて、

前日にやり残した肉体労働の続きに、とりかかる。

ランニングのおかげかカラダが軽い。


作業を終えて東京に戻ってからは、NHKホールで矢野顕子のコンサートへ。

走食美男子

時折、彼女の歌声が子守唄にも聴こえたけど、

奥田民生との「すばらしい日々」は、

この週末の〆にもってこいのパフォーマンスでした。