この間、会社の先輩の水口さんから勧められて、持ってきてくださった宇佐美百合子さんの「元気を出して」の本を読み終えた。短くて読みやすくとても元気をもらえた。その本を返すときのお礼にと、ギョウザを作って本とともにお渡しした。
「よかったら、電子レンジで2分温めてから、ご家族でご一緒にお召し上がりください」と二十個入った、茹で上がりの水餃子を差し上げた。
「かえって気を使わせてごめんね。ありがとう」と喜んでくれた。
その翌日、たいへんおいしかったので、もしよかったら作り方を教えて、というご希望が丁寧な言葉で遠慮ぎみに切り出された。それを聞いた私は、すぐに、はい、わかりましたというお返事をした。みなさんといっしょに餃子を作るのは、ほんとに楽しいから。それから、お互いのスケジュールを確認し、一か月後の月の半ばの土曜日に決まった。水口さんの娘さんのミキちゃんのお宅で、会社の同僚三人を加えて、大人六人と水口さんの一歳半の孫娘の奈菜ちゃんを入れて七人で、その日を迎えた。
私たちは近くの公園で車を止め、一台の車に乗り替え、目的地に向かう。積水ハウスが開発した住宅地に入り、自然の中で周りと調和した洋風の建物が立ち並んでいる。
「ここは、日本だとは思えないわね」と思わず、みんなが驚きの言葉を思い思いに口にする。とてもきれい。車の音が聞こえたのか、奈菜ちゃんを抱いていた水口さんと娘さんが、春風よりも甘い笑顔で迎えてくださった。
きれいなタイル張りの柱に、鉄のアート扉、両側に緑いっぱいに無数の花を咲かせている石畳に踏み入る。迎えてくれる新鮮な空気が体にしみこむ。大きな玄関のドアを開け、広々とした空間が目の前に広がり、玄関と繋がっているのはリビング・ルームであった。大きな窓に外の緑をもらさず全部目にできる。隣のお宅との距離もほどよい。プライバシーのための空間もできている。リビングの隣はダイニング・キチンである。大きなテーブルにギョウザ作りの材料がすでに準備されていた。
「すてきなお家!空いた部屋はないの?」と長野さんが言う。
「あるのよ、上には四つ部屋があるわ。一つしか使っていないもの」とミキちゃんが答えた。
長野さんはずっとお姑さんとの同居生活をしているため、ミキちゃんのような独立した生活が憧れであった。
「明日、ここに引っ越しするわ」と冗談を言う。
ミキちゃんの微笑ましい顔につられて視線を移すと、お腹が膨らんでいるのに気づいた。ミキちゃんが私の問いかけるような視線を感じたのか、
「11月の予定です」とお腹に手をやって、幸せが溢れる笑顔で答えてくれた。
「おめでとう」と私。
挨拶が終わり、コーヒーをいただき、それからギョウザ作りにかかる。みんなは手先がとても器用でよくできる。今までの講習のなかで一番できのいいグループ。ギョウザを作る間、水口さんにおんぶされた奈菜ちゃんは、とてもおとなしくて、じっと私たちを見ていた。急に人がいっぱい来て、さぞ戸惑っているだろうな。奈菜ちゃんは、短いドレスを着ていた。まるでお人形さんのように可愛かった。水口さんの姿を見て、いつか私も孫をおんぶする時が来るだろうと、なんだか待ち遠しくなる。
できあがり食べてみると、みなさんは「美味しい」を連発してくれてほっとした。ミキちゃんのコメントもおもしろい。
「美味し過ぎる!やばい!」今風の日本語を生で聞くのは初めてだった。奈菜ちゃんはもっとおもしろい。具だけを食べる。少しの皮をあげてもすぐわかるらしい。口から出す。こどもの舌は騙せない。みんな笑いながら、じっと奈菜ちゃんを見ていた。
食後、みんなの持って来た、三種類もあるケーキを皿にわけた。ミキちゃんに入れてもらったコーヒーと共に、お茶タイムを楽しんでお開きにし帰ってきた。口では尽くせないほどとても楽しかった。