「東京大学」の入学式で語られたこと。
このメッセージの中に、
私が子育てをしている中で思っていたことが
あちらこちらに散らばっていたので、
いくつか抜粋させてもらいました。
ご入学おめでとうございます。
あなたたちは激烈な競争を勝ち抜いてこの場に来ることができました。
あなたたちは選抜されてここに来ました。
東大生ひとりあたりにかかる国費負担は年間500万円と言われています。
これから4年間すばらしい教育学習環境があなたたちを待っています。
あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。
ですが、がんばっても、それが公正に報われない社会があなたたちを待っています。
そして、がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、
あなたがたの努力の成果ではなく、
環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。
あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、
これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、
手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。
あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。
恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、
そういうひとびとを助けるために使ってください。
あなた方を待ち受けているのは、これまでのセオリーが当てはまらない、
予測不可能な未知の世界です。
これまであなた方は、正解のある知を求めてきました。
これからあなた方を待っているのは、正解のない問いに満ちた世界です。
異文化を怖れる必要はありません。
人間が生きているところでなら、どこでも生きていけます。
あなた方には、東大ブランドがまったく通用しない世界でも、
どんな環境でも、どんな世界でも、たとえ難民になってでも、
生きていける知を身につけてもらいたい。
大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、
これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、
わたしは確信しています。
知を生み出す知を、メタ知識といいます。
そのメタ知識を学生に身につけてもらうことこそが、大学の使命です。