悪さをしていた仲間がよく『要領がいい』とか『要領が悪い』とか言うが、私はきっと“要領が悪い”んだろう。
小学生に行ってからも万引きはよくやっていた。友達はみんな親からお小遣いを貰っていたけど、私は貰ってなかった。貧乏だったのは分かっていた。だから「お小遣いちょうだい」とは言えなかった。
だからって万引きはよくない。汗水たらしてその商品を作った人がいる。売る人がいる。そうやってみんな生活している。
今になっては当たり前に分かる事が、当時の私にはそこまで気が回らなかった。
近所の大浴場では酔っ払いを狙って貴重品を取ったり、ロッカーの鍵を盗み出し、鞄を盗んだりした。みんな私がまだ小学生低学年だったから怪しまれなかった。
初めて捕まったのは小学3年生の時だった。その時ですら、次はバレないようにしようと心に決めていた。もうしないとは思えなかった。
姉と捕まったにも関わらず、母に怒られたのは私だけだった。いつもそうだった...
姉は私より要領がよく優等生だった。頭の回転が早く、友達もたくさんいた。どこの学校に行ってもなじめて、私とは正反対だった。
そんな姉が羨ましかった。