愚かな夫婦 | 『新・記録03』~そこに何かがある限り~

愚かな夫婦

 先日、出勤前のがふと思い出してわたくしにのたまった。


 「そういえばあなたっ! このまえ、うちのお客さんが○○(市街地)であなたのこと見かけたって言ってたけど、どこかの男と会ってたんじゃないでしょうねっ!?」


 わたくしは、駐車場が少なくて車を停めにくい市街地には滅多に行かない。
 ちょっとした用事をすませるために、数百円を余計に払わなくてはならないなんてぞっとする。

 だがこのまえ、いかにも主婦が男と逢引きしてそうな平日の昼間に、わたくしが市街地へ出かけた記憶は、たしかにある。
 そして、


 「わたくしが○○にいたのは、ダーリン、あなたが壊したキャッシュカードのことで銀行へ行ったからよ」


 ちなみにわたくしは、そのとき慣れない場所に困惑したあげく、通りをはさんで銀行を背にするかっこうで、お巡りさんに「××銀行はどこですか?」とたずね、「そこです」と指摘されていた。

 わたくしは振り返り、銀行のロゴを確認した途端、「あれっ!?」と言った。


 ところでその若いお巡りさんは、すごく華奢で大人しそうに見えたが、警察学校で凶悪犯と戦うための訓練をちゃんと受けたのだろうか?