回顧録でも霊能話でもないんだけど、ちょっとこぼれ話をします




十数年前、まだ横須賀に越してきたばかりのことです



山の登り口に住んでいたころ、出かけるために階段を降りていたら、階段の入口に80を過ぎたと思える女性が自宅の前に立っていた


そこへ、ハタチそこそこと見えるお兄ちゃんが階段の入口で持っていた缶コーヒーを飲み干し、当たり前のように階段脇に置いて登ろうとすると、その女性が顔色ひとつ変えないで、静かな声でこう言った



「捨てる方じゃなくて、拾う方になりなさい」と





空気が固まった




逆ギレして、お兄ちゃんがなにかやるなら割って入ろうと思ったので、私も立ち止まって見てたんです



でも、違った





そのお兄ちゃん、一瞬固まってうつむいたかと思うと、何も言わずに振り返りもせずに空き缶を拾い上げて、階段を上がって行った


かっこいい、、この人

と、思ったことを今も覚えてます



こんな人が当たり前に居た昔の日本


強かったのは当たり前です



今、こんな人が、どれだけ残っているんだろう?



いい女ってのは、ああいう人のことを言うんですよね



凛とする


その言葉は、あの人にこそふさわしい