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📔小説投稿サイト
「アルファポリス」において
「歴野理久」のペンネームにて
私小説「僕のこの恋は何色?」
──を連載中です。
この度この拙作をアルファポリスの小説コンテスト
🌈「ライト文芸大賞」にエントリーしました。
つきましては
その「応募期間キャンペーン」として、「長編全300回」の中から、
自選の「96回分」を短期連続掲載致します。
長編小説の中から抜粋の
「エピソード集」ですが、この前後に興味が持てましたら
是非「アルファポリス本編」の方へお越し下さい。
リンクは最後に貼ってあります🍀
✴️掲載期間=4/28~5/29
✴️更新=毎日0時、8時、16時
《フォロワーの方には誠にお騒がせとなります。深くお詫び致します》
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✨今回のお話はこれです✨
No,204 スーツの似合う彼
【これは30代前半のお話】
ひとつ前に、ひと回りも年下のマモルとのエピソードを書いた。するとその関連で、今度はひと回りも年上の早瀬さんの事を思い出した。
これまで、俺がちゃんと「恋人として付き合った」と思えるのはふたりだけ──。
二つ年上の亮ちゃん。
そして三つ年上の隼人。
ふたり共「年上」ではあったけれど、正直どちらも「目上」だと意識した事はほとんど無い。
亮ちゃんは十何年来の幼馴染みだったし、隼人についてはむしろ俺の方が年上か?と錯覚さえ起こすくらいだ。
早瀬さんは普通にリーマンで、シックなスーツが良く似合う大人だった。
「普通にリーマン」と言う表現はどうか?とも思うけど、俺にとっては褒め言葉だ。
二丁目にやって来る大人は少しでも若く見られたいのか、はたまたお洒落なのか「いかにも仕事帰り」と言ったスーツ姿はあまり見掛けない。
「スーツ姿」と言っても色々だけど、それが着こなせていて似合っているなら俺の大好物だ。
その点、早瀬さんは格好良かった。スーツ姿がとても素敵だった。
切っ掛けは二丁目の或る店だった。そこは元々友達の行き付けだったけれど、数回通って俺も顔馴染みにはなっていた。
ただ、その店のママ(もちろん男)とは、まだそれほど親しくはない。二丁目の通りで顔を合わせれば互いに笑顔で会釈する程度の仲だった。
──この話、そんなママの俺に対するとんでもない勘違いから、へんてこりんな事になってしまった。
ある夜、ママが俺に耳打ちをした。
「理久ちゃんあちらの方、早瀬さんておっしゃるんだけど、良かったら一緒にどうですか?って」
「え、あのスーツの人ですか?」
──少し離れた席に座っていて、こちらに笑顔を投げたのが彼だった。
そう、ママの話によると早瀬さんは40代も半ばならしい。正に俺よりひと回りも年上だ。
何度もくどいが、俺はいま「彼氏募集中」だ。掛けられた声を振り払う理由は無い。
そこからは呼ばれるがままに席を移し、早瀬さんと会話した。
──何を話したっけ?
正直よく憶えていない。
が、あまりに年の差が有り過ぎて、俺としては緊張と不慣れから上手に話せなかった事だけは憶えている。
しかし、案外それが好印象だったらしい。それは後に彼から直接言われた。
「まだ二丁目にも不慣れな感じで、しどろもどろな所が新鮮で可愛かったよ」って、あれれ。
──もう二丁目もベテランの域の俺なのに、何を勘違いさせてしまったのか?甚だ心苦しい。
当たり障りのない会話がスムーズに続いた。その段階で嫌な感じは少しも無かった。
そしてその夜は、時間も程々のところで彼から帰宅を提案された。平日の夜だったから明日を鑑みたのかも知れない──そんなところにも大人の余裕を感じた。
(若いと後先無くガツガツやりたがるパターンも多いけど、さすがに大人は違うな)
と、俺も安心した。
──徹夜明けで出勤するほど俺も若くない。正直これからホテルになんて誘われたら辟易とするところだった。
「週末に夕食をどう?理久君とデートしたいな」
──すんなりとスマートなお誘いだった。年上って言ったって、到底亮ちゃんや隼人には真似できない台詞回しだ。
「はい、喜んで……」
俺まで気取って、どこぞのお坊ちゃまのような返事をした。あ、お坊ちゃまって言えば俺の、いや僕の本領発揮なのかな?
早瀬さんの前では「俺」じゃなく、「僕」って言った方が相応しいな。
──何だかいつの間にか、早瀬さんに合わせて自分にキャラ付けをしてしまう。
(こんなじゃいずれ疲れちゃうな。なるべく自分を出していかなくちゃ……)
「それじゃ、週末を楽しみにしているよ」
「はい、僕も楽しみです」
先に帰る早瀬さんを店から出てエレベーターまで見送った。
(40代半ば?こんなに年上の人も初めてだけど、案外僕には向いているのかも知れない……)
新しい出会いにときめいた。
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このお話は抜粋となります。前後に興味が持てましたら本編の方へお越し下さい🧒
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私小説「僕のこの恋は何色?」
~ゲイとして生きる僕の道のり─────────歴野理久
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