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🌈33「ライト文芸大賞」

応募期間=立ち読みキャンペーン🧒



📔小説投稿サイト

「アルファポリス」において

「歴野理久」のペンネームにて

私小説「僕のこの恋は何色?」

──を連載中です。


 この度この拙作をアルファポリスの小説コンテスト

🌈「ライト文芸大賞」にエントリーしました。


 つきましては

その「応募期間キャンペーン」として、「長編全300回」の中から、

自選の「96回分」を短期連続掲載致します。


 長編小説の中から抜粋の

「エピソード集」ですが、この前後に興味が持てましたら

是非「アルファポリス本編」の方へお越し下さい。


 リンクは最後に貼ってあります🍀


✴️掲載期間=4/28~5/29

✴️更新=毎日0時、8時、16時

《フォロワーの方には誠にお騒がせとなります。深くお詫び致します》



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✨今回のお話はこれです✨


No,77 好きになってしまう人を自分では選べない

【これは高校3年のお話】


──照明が落ちる。ドラムが静かにカウントを刻んだ。

 ゆるやかに♪色っぽく♪俺はイントロダクションのピアノを奏でる♪ 


 煌々としたスポット・ライトが、立ち上がる平田を映し出した。



♪プティ♪トゥ・フルール♪

 甘い香り♪

 密かに咲ける♪可憐な花♪


(ああ平田!おまえ、なんて本番に強いんだ!)

 俺は、ワンフレーズ聴いただけで平田の成功を確信した。


 入部した当初の、あの平田の顔が思い浮かぶ。

「オレ、だから今度は頑張りたいんだ」

 頬を赤らめ、俺の目を見てそう言った平田。


(良くやったな。3年間頑張った) 


 俺はピアノを奏でながら、平田と一緒の想い出を追った。

 二人きり──練習場に居残って楽譜の勉強。平田は真剣な眼差しだった。可愛さのあまり頭を撫でたら、あいつ本気で嫌がってたっけ。


 帰りに歩いた繁華街──平田はちょっと小走りで、いつも俺を見上げてた。マイペースな俺が悪かった。でも、おまえはいつも笑ってた。 


 一緒に平田のバスを待った北方面行きのターミナル──このままずっと、バスなんて来なければいいのにと思ってた……


♪プティ♪トゥ・フルール♪

 その微笑み♪

 小さな唇♪僕を誘う♪


 Aメロ、なかなかいいぞ!

 つぎはBメロ♪


 あれ?平田?

 演奏しながら、ピアノに向かって歩み寄る。

 こんな演出あったっけ?


♪花びらのような♪その唇♪

 切なき♪恋にふるえる♪


 あ、平田が俺の正面に立った。

 俺の目を見詰めながら曲を奏でる。


♪プティ♪トゥ・フルール♪

 黒き瞳♪

 その揺れる視線が♪

 僕を酔わす♪


 ありがとう、平田。

 平田がいたから俺は切なくて、悲しくて、そして嬉しかったよ……♪


 プティ♪トゥ・フルール♪

 至上の夢♪

 可愛い♪花のような君よ♪   



 平田は完璧にソロを成し遂げた。 拍手に包まれた平田が、はにかみながらちょこんと頭を下げる。

──スポットライトがスッとしぼんで、演奏はアンサンブルへと移って行った。

 平田は俺と目を合わせ、唇で(ありがとう)って笑顔を投げた。


 溢れる涙を止められない。

 けれど鍵盤に涙を落としてはいけない。俺の演奏はまだまだ続く。 


 ピアノを弾きながら俺は思った。 

 明日から、もうきっぱりと部活には来ない。

 それは、平田とはもう会わないと言うこと──。


 平田とは友達を続けられない。

 まして親友になんてなれない──それはあまりにも辛すぎる。


 俺は潔く諦める。

 そしておまえのことを、跡形あとかたもなく忘れてみせる。


 来年からは別々だ。いやがおうにも、おまえには会えない。

 だからそれに慣れなくちゃ。

 平田のいない生活に、一日も早く慣れなくちゃ。


 この演奏会が最後の想い出。

 さよなら……平田……

 おまえのこと愛してた……

 悲しくなるほど、

 好きだった……


 さあ!

 明日から勉強しなくちゃ……………え?……………勉強?



──中学3年のあの秋の窓辺。

 突然目に浮かぶ圭との回想。


 俺は圭を抱き締めた。圭の両手が俺の背中に回ったけれど……


「理久、勉強しなくちゃ……」

「そうだね、受験だもんね……」


 抱き合いながら、どうしてこんな会話をするの?


「もう、こんな事していられない……」

「そうだね、真っ直ぐ帰らなくっちゃ……」


 俺達の、放課後の逢瀬はそれきりになった。


(そうか!そうだったんだ!)


 あの時の「圭」は今の俺!

 そしてあの時の「俺」は、今の平田なんだね………!!


 フッと自虐的な笑みが溢れた。


(圭から連絡なんて、来る筈がなかった……)


 圭はきっとこんな思いで、今の俺と同じ様な気持ちで、確信を持ってあの頃の俺から離れたんだね。


 圭との初恋は悲しい結末。

 ジュンには愛して貰えなかった。 

 そして平田とは、残酷なくらいに何も無かった。

 俺は、恋愛には向かない質かな?


───好きになってしまう人を、自分では選べない──


 吹奏楽部──高校3年間の集大成。定期演奏会も終了だ。

 打ち上げまでは元気でいよう。 

 平田とは笑顔で別れる。

 いつものようにバスを見送る。 


 だけど今夜は思い切り泣く。

 誰が何て言ったって泣いてやる。 


 平田が好きだ。

 溢れる涙は止められない。

──でも、それは今夜まで。

 朝にはきっと忘れてる。

 俺は必ず忘れてる。


 そして、明日からは勉強だ!


………………あ、そうだ。

 東京へ行ったら亮ちゃんと会おう。

 なんてったって、亮ちゃんは子供の頃から僕のことだけ大好きなんだ。


 あれ?

 亮ちゃんを想うと(俺)が(僕)に戻っちゃう。

 何だか懐かしくてこそばゆい。 


 亮ちゃんなら僕を愛してくれる。 

 きっときっと愛してくれる。

 いつまでもずっとずっと、僕のことだけ愛してくれる!


 もう僕、亮ちゃんでいいや。  

 亮ちゃんでいいもん……。




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 可愛い花

 日本語作詞=歴野理久────────────



※──────────※



 このお話は抜粋となります。前後に興味が持てましたら本編の方へお越し下さい🧒



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私小説「僕のこの恋は何色?」

~ゲイとして生きる僕の道のり─────────歴野理久



⬇️本編はこちらからどうぞ⬇️ 



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