The Dark Elementを素材にギターのお勉強 | vitamin bass "B2"

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ベース・ときどき釣り・メタル
最近バス釣りのウェイトが高いのでブログタイトルもBassが2つで"B2"へ

ミュージシャンの目線でライブビデオを鑑賞するのは前回やった。今回はミュージックビデオを観てみよう。現在楽器の心得のないオーディオ屋さんを鍛え上げるキャンペーン中なのでそっち寄りの視点を入れて。


題材はThe Dark Element。
フィンランド出身の元ソナタアークティカのヤニ・リマタイネン。スウェーデン出身の元ナイトウィッシュのアネット・オルゾン。この2人がコアメンバーになる。

このバンドクオリティに反して様々ツッコミどころをばら撒く事で知られる。


例えばヤニの「子ネコTシャツ」
メタルミュージシャンのPV撮影になんてもの着てくるんだ、と。全く集中できん(笑)


アネット姉さんは昔から変な動きする。小柄な女性シンガー特有の動きだけど今は高めのヒール履いていまは小柄に見えないからそのギャップは結構違和感。


ドラムのヤニ・ウルラはYouTubeコメント欄に「彼はママにあそこでドラムを叩きなさい!と言われたから来たにちがいない」とか「the guy on a mission」だとか結構小ネタにされるようななんとも言えない表情でドラムを叩く。大振りなパフォーマンス性高い演奏なのに常に超真顔。

まあ私もかなり気になりPVに全く集中出来ない(笑)

視覚的にまともなのはベーシストだけだ、このバンド。
ただ指板のフレットが放射線状斜めに取り付けられたマルチスケール・フィンフレット仕様のベースを使ってるのは視覚的に目立つし、個人的には革製のストラップを短く使うときは穴の目に全部織り込む派なのでたまに背中側のストラップがペラペラしてるのが気になる。

やっぱりこのバンドの映像に集中は難しい(笑)



オーディオ屋さん向けにポイントを書いていこう。

まずミキシング。
ヤニがクソ真面目でステージでの立ち位置に合わせてギターパートを殆どLチャンネルに振ってる。ギターの音の話をするなら左に全集中。



カメラが寄ったところで諸元を確認しておこう。
日本人ミュージシャンはレコーディング機材とPVのギターが異なる事は日常茶飯時だがメタル系の人はクソ真面目なのでほぼ一致する。

日本のカスタムギター工房ESPのセカンドブランドE-Ⅱの7弦ギター。セカンドブランドと言っても質実剛健・楽器は仕事の道具だ馬鹿野郎!的な人向けの華美な装飾や贅肉を削ぎ落とした素晴らしいブランドだ。
(トップラインのESPはアルフィー高見沢氏のギターで知られる)

ピックアップはプリアンプを内蔵したEMG製。音のキレが良く歪ませた時の粒立ちも綺麗。内蔵9V乾電池が電池切れすると音が出なくなる恐怖のシステムでもある。


ブリッジはフロイドローズ・トレモロユニット。ギターのチューニングはなぜ演奏中に狂うのか?ということを分析し、その要因を最大限に排除したシステムだ。

特徴的なのは2点。チューニングを行うためのペグ(糸巻き)の手前で弦を金属のプレートで締め潰すこと。演奏中にペグが動いてしまってもチューニングは狂わない。弦の始点・ボールエンドは工場での結びが甘いと弦が伸びる可能性があるのでそんな部分は切断してブリッジの万力構造で挟む、ということ。

ネックとヘッドの境目の太めの黒いラインが弦を挟み潰している部分。


演奏中に万が一チューニングが僅かにずれた場合はブリッジ本体で修正する。黒い丸つまみがファインチューナーと呼ばれ弦をロックした状態での微調整を可能にする。

しかしフロイドローズはこの「工業製品/マシン然」としたデザインの良さよ。

この万全の状態なのでアームバーでとんでもない音程変化をやってもチューニングが狂わない、というのごフロイドローズ。音質は金属的なトーンになるのでアームを使わない人でもフロイドローズを選ぶことはある。

今回ヤニはフロイドローズにアームバーを付けておりアーミングをやることが予想できる。


SONATA ARCHTICAの頃はIbanezのRGを使用していたのでそのイメージが強いが今回のサウンドは彼の機材チョイスが素晴らしい、とわかる。


バッキング時はブリッジミュートしたフォームで重たい刻みをする事が多い。ヴァース(Aメロ)では全音符のコードストローク。今自分がどんなプレイをしているか一目でわかるように当てフリしている。やはりクソ真面目だ、彼は。

プリコーラスはハーフミュートで高音弦で分散和音の刻み。イントロは最もヘヴィな7弦を使った刻み。ヴァースでは低音の全音符で重厚な解放感。サビ前は高音の軽やかな音を入れる事で伴奏にドラマチックな展開を持たせている。



この曲はThe Dark Elementでは珍しくギターソロがある。ソナタアークティカの頃、日本では新世代のスーパーテクニシャンの1人と讃えられた彼が曲が求めなければギターソロを弾かない、という境地に入ったのは凄いな、と思う。


ソロの構成の旨さは流石。
最後の一音の時にブリッジから伸びるトレモロアームを掴んで高速のヴィブラートをかけている。

アームは掴みやすいようにギターボディからはみ出る位置にプラーンとさせて

それを掴んで楽器ごと持ち上げ一気に音程アップ。
チョーキングと違い指先は痛くないので鬼畜のような音程アップができるのがアームを使う利点だ。



それではアネット姉さんの変な動きとドラムのヤニの表情に気を取られないようにギターのヤニをよく見てみよう(フリ)




エレキギターは音の成分がとても広いのでどの音域が出てる出てない、ブーストされている…などが分かりやすい。評価できるようになっておくといいと思うよ。