現代のWebサービスでは、フロントエンドとバックエンドをAPIで接続する構成が一般的になっています。
Webサイト、モバイルアプリ、管理画面など、複数のクライアントが同じAPIを利用するケースも増えています。
その一方で、APIは外部から直接アクセスされるため、認証やアクセス制御、入力値の検証などを適切に設計しなければ、セキュリティ上の問題につながる可能性があります。
本記事では、API Securityの基本と、実装時に確認したいポイントを紹介します。
API Securityとは
API Securityとは、APIを不正アクセスやデータ漏えい、改ざんなどから守るための対策全体を指します。
対象となるのは、単純なログインAPIだけではありません。
例えば、
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ユーザー情報取得API
-
検索API
-
設定変更API
-
ファイルアップロードAPI
-
管理者向けAPI
-
外部サービス連携API
など、さまざまなエンドポイントが保護対象になります。
1. 認証を正しく実装する
APIへアクセスするユーザーが誰なのかを確認するために、認証が必要です。
代表的な方法には、
-
セッション認証
-
JWT
-
OAuth 2.0
-
API Key
などがあります。
重要なのは、システムの用途に合った方式を選ぶことです。
例えば、ユーザー向けAPIとサーバー間通信では、適切な認証方式が異なる場合があります。
2. 認証と認可を分けて考える
ログイン済みだからといって、すべてのデータへアクセスできるわけではありません。
認証は「誰であるか」を確認する処理で、認可は「何をしてよいか」を判断する処理です。
例えば、ユーザーAが次のURLへアクセスしたとします。
/api/users/123/profile
このとき、ログインしているだけでは不十分です。
サーバー側で、
-
このユーザーはID 123の情報を閲覧できるか
-
管理者権限が必要ではないか
-
他人の情報へアクセスしていないか
を確認する必要があります。
3. オブジェクト単位のアクセス制御
APIでは、URLやパラメータを変更するだけで別ユーザーのデータへアクセスできてしまう問題が発生することがあります。
例えば、
/api/orders/1001
を
/api/orders/1002
へ変更しただけで他人の注文情報が表示される状態は危険です。
そのため、API側では毎回、
「現在ログインしているユーザーが、このリソースへアクセスする権限を持っているか」
を検証する必要があります。
クライアント側でボタンを非表示にするだけではセキュリティ対策になりません。
4. HTTPSを必ず利用する
APIでは、認証トークンやユーザー情報など重要なデータを送受信します。
そのため、通信はHTTPSで保護する必要があります。
HTTP通信を許可すると、
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Token
-
Cookie
-
入力データ
-
APIレスポンス
などが通信途中で読み取られるリスクがあります。
API Gatewayやロードバランサーを利用する場合も、システム全体で暗号化された通信を維持できているか確認することが重要です。
5. 入力値を信用しない
APIへ送信されるデータは、すべて検証する必要があります。
フロントエンドで入力チェックを行っていても、攻撃者はブラウザを経由せず直接APIへリクエストできます。
そのため、サーバー側で、
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データ型
-
最大文字数
-
必須項目
-
許可される値
-
数値の範囲
-
ファイル形式
などを検証します。
「クライアントが正しい値を送ってくる」という前提で設計しないことが重要です。
6. 不要な情報をレスポンスに含めない
APIレスポンスでは、本当に必要なデータだけを返すことが基本です。
例えば、プロフィール画面でユーザー名とアイコンしか必要ないのに、
-
内部ID
-
権限情報
-
管理用フラグ
-
内部システム情報
などまで返す必要はありません。
不要なデータを返すほど、情報漏えい時の影響も大きくなります。
最小限のデータだけを返す設計が重要です。
7. Mass Assignmentに注意する
オブジェクト更新APIでは、クライアントから受け取ったJSONをそのままデータベースモデルへ反映すると危険な場合があります。
例えば、通常ユーザーが送信するデータが、
name
email
だけだとしても、攻撃者が
role: admin
のような項目を追加する可能性があります。
サーバー側では、更新可能なフィールドを明示的に指定し、許可されていない項目を無視または拒否する必要があります。
8. レートリミットを設定する
APIは自動化されたアクセスを受けやすいため、レートリミットが重要です。
特に、
-
ログイン
-
パスワード再設定
-
検索
-
メール送信
-
ファイル生成
などは、大量リクエストによって負荷が高まりやすい機能です。
IPアドレスやユーザーID、APIキーなどを基準に制限を設定することで、不正利用や過剰アクセスを抑えやすくなります。
9. エラーメッセージに内部情報を出しすぎない
開発環境では詳細なエラー情報が便利ですが、本番環境でそのまま表示すると内部構造が外部へ漏れる可能性があります。
例えば、
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データベース名
-
SQL文
-
ファイルパス
-
スタックトレース
-
使用ライブラリの内部情報
などは、攻撃者にヒントを与える可能性があります。
ユーザーには必要な情報だけを返し、詳細なエラー内容はサーバーログへ記録する設計が安全です。
10. CORSを正しく設定する
CORSは、ブラウザから別オリジンのAPIへアクセスする際に重要な仕組みです。
開発時に問題を避けるため、
Access-Control-Allow-Origin: *
と設定したまま本番運用すると、意図しないWebサイトからAPIが利用される可能性があります。
必要なドメインだけを許可し、認証情報を含む通信では特に慎重に設定することが重要です。
11. APIバージョンを管理する
APIは長期間運用すると仕様変更が必要になります。
その際、既存クライアントとの互換性を壊さないため、APIバージョンを管理する方法があります。
例えば、
/api/v1/users
/api/v2/users
のように分けることができます。
古いAPIをいつまでも残すと、セキュリティ修正が反映されていないエンドポイントが残る可能性があります。
利用状況を確認しながら、不要になったバージョンを段階的に廃止することも重要です。
12. ログと監視を活用する
API Securityでは、攻撃を完全に防ぐことだけでなく、異常を早く検知することも重要です。
例えば、
-
短時間に大量の401エラー
-
特定アカウントへの連続アクセス
-
通常利用されないAPIへのアクセス
-
急激なトラフィック増加
-
管理APIへの失敗リクエスト
などを監視できます。
ログを収集するだけではなく、異常なパターンを検知した際に通知できる仕組みを作ると効果的です。
13. API Keyをコードへ直接書かない
外部APIを利用する場合、API KeyやSecretをソースコードへ直接書き込むのは避けるべきです。
特にフロントエンドJavaScriptへSecretを記述すると、ブラウザから簡単に確認できます。
機密情報は、
-
環境変数
-
Secret Manager
-
サーバー側設定
などで管理する方法が一般的です。
Gitリポジトリへ誤ってSecretを登録しない仕組みも重要です。
14. ファイルアップロードAPIは慎重に扱う
ファイルアップロード機能は、特に注意が必要なAPIの一つです。
確認したい項目には、
-
ファイルサイズ
-
拡張子
-
MIME Type
-
保存場所
-
ファイル名
-
実行権限
などがあります。
アップロードされたファイルをそのまま公開ディレクトリへ保存すると、意図しないコードが実行されるリスクがあるため、保存方法を慎重に設計する必要があります。
JLPHのようなサービスで意識したいこと
JLPHのように複数のフロントエンド機能とAPIを組み合わせるデジタルプラットフォームでは、単にログイン済みかどうかを確認するだけでなく、各APIごとにアクセス権を明確に設計することが重要です。
特にユーザー情報や設定変更を扱うエンドポイントでは、オブジェクト単位の認可、入力値検証、レートリミットなどを組み合わせることで、より安全なAPI運用につながります。
また、新しいAPIを追加する際にセキュリティレビューを行い、認証・認可・ログ・エラー処理を確認するルールを作っておくと、サービス規模が拡大しても品質を維持しやすくなります。
まとめ
API Securityでは、一つの対策だけに頼ることはできません。
安全なAPIを設計するためには、
-
適切な認証
-
オブジェクト単位の認可
-
HTTPS
-
入力値検証
-
レートリミット
-
CORS
-
Secret管理
-
ログ監視
などを組み合わせることが重要です。
特に重要なのは、「クライアントから送信される情報をそのまま信用しない」という考え方です。
APIはWebサービスの中心的なインターフェースだからこそ、設計段階からセキュリティを組み込み、継続的に監視と改善を行うことが、安定したサービス運用につながります。