先日、佐藤初女さんのお宅を訪ねてお話をお伺いすることができました。
おむすびをいただく予定はなかったのですが、“おむすびをつくりましょう”と、すぐに言ってくださり、初女さんのおむすびをいただけるなんて!ましてや、つくるのを目の前で見られるなんて!と感激しました。
ドキドキしながら、映像や写真でしか見たことのないおむすびが、目の前でできあがっていく様子をみていると、だんだんと心が満たされていき、いただくときには、まだ信じられない気持ちと、初女さんの包み込むようなこころの大きさを感じました。初女さんと初女さんのおにぎりが今この空間にあるということに、とても幸せを感じました。
初女さんのおむすびのつくり方を教えていただきましたので、ご紹介します。
・おむすびに使うお米のブランドは問わないとおっしゃっていました。
・白米2カップを炊くと、おむすびが5つできます。
・梅干しはもちろんお手製です。
・時間を置いて食べる時には、タオルの上におむすびを並べて、タオルをかぶせておくことで、ふんわりさが長持ちします。
・用意するもの
まな板、布巾、手水(塩は入れません)、お茶碗、梅干し、海塩(精製塩ではなく海からできたお塩)、海苔(大判1/4に切ったもの)おむすび1つに対して2枚
1.まな板を水を含んだ布巾で拭く。(こうすることで、お米がまな板につかなくなります。)
2.お茶碗にご飯をふんわりとよそって、まな板に並べる。
3.ご飯を並べた順番通りに、梅干しを真ん中に置く。
4.手水に左手を軽くひたし、右手もしめらせる。海塩ひとつまみをとり、両手にまぶして外側からすくい、たなごころにのせて丸くにぎる。
5.海苔を一枚おむすびにかぶせて、おむすびを裏返し、白いところがなくなるようにもう一枚をかぶせる。
6.全体を手のひらで包み、少し力を入れて結ぶ。
6.初女さんのおむすびのできあがり!
おむすびを結ぶ時には、無心に、生きているお米一粒一粒に心を通わせていらっしゃるようでした。
結ぶ力は強すぎず、緩すぎずの力加減だそうです。
さっそくいただきました。
お米の美味しさがひろがり笑顔になりました。まさしく、今まで食べたおむすびのなかで、一番美味しいおむすびでした。とても暖かく、お米一粒一粒の顔がわかる感じでした。
程よい塩加減で、目をつぶって、よく噛んで味わいたくなります。
口にした瞬間に“ありがとう”と感謝の気持ちに満たされました。
初女さんのおむすびは、“おにぎりをにぎる”というよりも、“おむすびを結ぶ”という表現が似合います。“結ぶ”という言葉のように一粒一粒のお米を結びます。
初女さんのおむすびは、お米のいのちと、初女さんのこころと、食べる人のこころを結ぶものだと感じました。
初女さんの真っ白い割烹着姿を見ていると、祖母の姿を思い出し、とても懐かしく、心が和みました。
おむすびをつくっていらっしゃる初女さんを見ていると、とても可愛らしく、私も割烹着が似合うおばあちゃんになりたいと思いました。
旦那様がお亡くなりになる前、最後に口にしたのも、初女さんのおむすびだったそうです。
私は、玄米を食べますが、いのちを支えるお米。これからも大切にいただきたいと思いました。
そして、私が初女さんのおむすびを結べるようにならなきゃ、と思いました。
★書籍『初女さんのおむすび
』
(Mik)