小説じゃないんじゃないだろうか・・・と、芳樹は自問自答していた。
芳樹は、ハーゲン王国のある民間の研究所に勤めている。
そこで、庶民の住宅事情の研究をしている。特に、ゴミ屋敷や問題のある家(家庭崩壊など)に関心があるようだ。
狡猾な犯罪者は、表はごく普通に見える家の住人である。当たり前だ。知能犯だからである。
ただ、一部は、それに似せるわけである。これも当たり前。
あるアイドルが、一時期、ゴミ部屋を見せて、ケギャルなどと言われていたのだが、狡猾なアイドルは、演出でそれを平気で出来るわけである。
犯罪者もそれと同じである。ただ・・・騙しちゃうぞ、と、けつの毛まで抜くのでは、話が変わってくるのである。
さて、対して、被害者の家というのはどういう家なのだろうか。
自然系の被害者・・・こういっていいのかは不明だが、植木鉢など緑を買いまくり、玄関まであふれるばかりに置く傾向がある。
ナチュラル、といい、それを平気にしている。また、DIYが下手である。
なお、ある時期DIYやら美術がうまい、という時期もあったのだろうが、高齢・・・というより、頭をぶっ飛ばされて、下手になっていくわけである。
そういう状況下の場合、様々なサービスを不当・違法に受けられない傾向がある。
さらに、最終的には、ゴミ屋敷となっていく。これに対して、行政に通報しても行政が動かないケースも多い。
人権団体、と言われる人が、人権蹂躙だ、と圧力を加えるらしい。それ以外にも、何かしら圧力があるケースもある。
なお、もともとはそこまで悪い人でない、という話なのだが、いじめなどで性格が豹変していることもある。
さて、もうひとつ、人工系の被害者を紹介する。
人工系の被害者とは、まったく何もない家である。
無駄が一切何もない。備蓄もない。
この人は一見問題ないかのように見えるが、実は、結構行き過ぎている状況が見受けられる。
おまけ、が許せない。調和、が許せない。明朗会計でないこと、が許せない。
おまけ、は絶対に許せないはずである。
ところが、こういう人物に限って、法令やマニュアルを破る。作らせない。あるいは、法令を厳格に適用し、人が死んでも平気な状況になる。
証拠を残さない。口約束だけを強調する。文書を平気で改ざんする。都合が悪ければ脳すらいじる。
ある意味、加害者でもある被害者。
そして、こういうのを生み出して、笑っているゲームの主人公を気取っている加害者がいる。
ただ、高度情報化社会下では、その加害者は被害者と信号のように入れ替わったり、あるいは、上記のような、ある意味加害者ある意味被害者となるのがうまいのである。お金は持っていないが引き出すのはうまい。あるいはお金持ち。
・・・以外と、被害者や加害者として、整形を含め皮膚移植などまで平気で受けているかもしれない。などと思っていたりしている。
・・・と、芳樹は報告書にまとめたが・・・その報告書をゴミの中に入れた。
おかしな研究者のおもりをさせられて自殺なんていやだからな・・・。そう思ったからである。
・・・あの研究者、プロトコル(レシピ)が悪いといわれても平気だったが「自分が爆弾」くらいはわかっていたのだろう。
修士は取り上げられていないと聞いているが、それはある意味そういうことだと大学も判定したのではないか?
うちに弁護依頼をよこして、単なる予算難の研究所をてんやわんやにしたのだから、プロトコル(レシピ)の作成教科書をホームページで無償公開ぐらいしないと許さないからな。倉庫ひとつ建てるのでも手続きがめんどくさいのに。
そういって、芳樹は、報告書を書き換えしはじめた。