公訴時効廃止法案成立に対する私たちの思い{記者会見要旨}
只今、国会において、明治以降130年続いた公訴時効制度の法律が廃止となる法案が可決成立致しました。現在の心境は、これほど大きな法律の改正が、一気に可決したことに対し、ただただ感激と共に感慨深いものがあります。
同時に、私たちのこれからの活動に対し、身の引き締まる思いもあります。
その感激の中、宙の会として
○ なぜ歴史的な法案が一気呵成に成立する流れに至ったのか
という点について、総論的に会の思いを発表させて頂きます。
先ずは
1880年にフランス法から導入され、130年に及んだ時効制度が、ここ1~2年の論議で、何故一気に廃止法案に至ったかという点についてです。
この点は今後、各分野で検証され、それぞれの見解がでてくると思いますが、今思うところの一端を述べさせていただきます。
一気呵成の要因の一つには、
○ わが国の司法制度改革の流れの中で、国民参加の裁判員裁判制度が昨年から始まり、自分が法律判断するという立場に至った状況を、現実として受け止めたとき、国民の法律に対する関心の高まりがあったものと思います。
二つには
○ 司法制度改革に対して、国会議員をはじめとする政府関係の方々が、国民の民意というものを大所高所から受けとめ、中でも法務省を中心とする法案整備に携わってきた方々の、流れを受けとめる先見性があったものと察しております。
次には
○ 遺族もまた、被害者の立場が徐々に報道によって取り上げられる中、理不尽に殺された被害者の無念の思い、そして同時に殺された状況に等しい私たち家族の思い、一方・犯人は未だどこかで自分の生き方をしているのではという思い、さらに警察の捜査がだんだん先細りになっていくような思い、また、すでに時効が成立している遺族にとっては、このまま心の中で区切りをつけなければならないのだろうか、と悶々として悩む思い、このようなそれぞれの思いが風に誘われるように結びつきを得て、その諸々の思いを伝えるのは私たち遺族しかいないのではないかと志を一つに致しました。そして、宙の会を結成して時効制度廃止に向けた情報を発信したことも功を奏した大きな力と考えております。
そして、犯罪被害者のために、長く活動してきた各被害者団体の方々も、同様に機会を捉えて、公訴時効の見直しについて動いたことも大きな力になったと思っております。
最後は、
○ 報道関係者各位の、記者としての思い、さらにその思いを超えた人としての感受性があらゆる場面で、記事の一文字の中に、またカメラマンの私たちを追う映像の中に映し出され、それが私達と政府関係者及び国民を結びつけ、世論を高めたと思っております。
まだまだ、ここに至る要因はたくさんあるかと思いますが、今・感激の中で浮かぶのは以上のような思いです。
以上、時効制度廃止法案可決に際し、思いの一端を述べさせていただきましたが、この法案成立によって、殺人事件が大きく減少することを強く望みます。
そして、未解決の事件について、時効は無くなったわけですから、犯人には是非早い段階で、自ら出頭して償いの道を果たして頂くことを強く呼びかけたいと思います。
最後になりましたが、宙の会に対し、署名活動等を通し温かいご支援を賜りました国民の皆様に心から感謝申し上げ、また報道各位の取り組みに心から敬意を表し挨拶とさせていただきます。
平成22年4月27日
殺人事件被害者遺族の会・宙の会
会 長 宮沢 良行
代表幹事 小林 賢二