雪が降り冷え切った中

ジミンを待ち続けていたジョングク


ジミンのところから戻ったジミンの父が

ジョングクに気が付いた



ジョングク君?



あっ…こんばんは



こんな寒い中いつからいたんだ?

早くうちに入りなさい



いえ…大丈夫です…



いいから…



でも…僕…



ジミンから全部聞いているよ



そう…ですか…



気を使わなくていい

さぁ早く着いて来なさい



ジョングクはお父さんの後ろに着いていく



お母さん、戻ったよ



お帰りなさい…あら?ジョングク君…



外にいたから連れて来たんだ

冷えてるから何か温かいもの出してやってくれ



すぐ準備するわね

さぁ、上がって…



お邪魔します…



食卓に案内され座る



あの…ジミナ…は?



お母さんもお父さんも一瞬凍りついた



ジミンは…出て行ったわ



えっ?



今日…出て行った

ここには帰って来ないの



どこに?どこへ行ったんですか?



…ジョングク君には言わないでって



どうして…



お母さんはホットミルクを出す



許してあげて

ジミンの事…わかってあげて…





お互い…たくさん傷ついたのね…

私たちは2人の理解者のつもりよ

だけど…世間はそうはいかない…

それをひしひしと感じてしまったの…

大好きなあなたを守りたい

ただそれだけなのよ…

2人でいる選択をすればいいのに…

わざわざ離れる方を選ぶなんてね

バカな子…



そう言ってお母さんは涙を流した



ジョングクはそれ以上

何も聞く事が出来なかった…



ミルクを飲み干し

ジミンの実家を出た



冷たい雪がジョングクに降り注ぐ



2度と逢えないかもしれない

ジミナと…もう…本当に逢えないかもしれない…

探し出したとしても

そばに行く事も抱きしめる事も

きっと出来ないんだ…

この手にジミナを感じる事は

もう…ないのかもしれない…



運命のはずなのに…

どうして…僕たちを引き離すの…

忘れたくても忘れられない

消したくても消せない…

ジミナは僕の心に刻まれた魂

もう…逢えないのなら…

一層このまま…消えてしまいたい…



ジョングクは嗚咽する様に泣き叫ぶ

自分の無力さを痛感させられた



自宅に戻る

門に手をかけた時

人影を感じて振り返る



ジミナ?



ジミンがいるはずがないのに

逢いたい想いが強すぎて探してしまうんだ…




再び門を開けようとした



そんなにボロボロになって…

可哀想…



振り返るとシュリがいた



何してるの?



ジョングク君が心配で待ってた



何も心配される事なんかないよ

遅いから早く帰らないと



別れたんだって…ジミン先輩と

やっと自由になれたのね

良かった…



良かった…?



シュリはジョングクに抱きついた



私がいるから…

必ず幸せにしてあげる…

安心して…大丈夫…もう…辛い想いは

しなくていいから…



離して…



…嫌



離れてくれ…



どうして…?



君じゃない…

僕が幸せになるために必要な人は

君じゃないから…



ジミン先輩は男よ

私なら…ジョングク君を

愛し続けて幸せにしてあげられる

あなたしか…見えないの…

私はあなたじゃなきゃ…ダメなの…

だから…



僕の事が好きなら

僕の大切なものを傷つけて

壊すのはやめてくれ

返してくれよ…ジミナを…

返してくれ…僕の宝物を…

勝手に奪って…

君の事は…好きじゃない…

どんなに思われようと好きになれない…

二度と僕に…近づかないで…



こんなにも愛してるのに…



それこそ君の言う

叶わない恋だ…

迷惑…なんだ…愛されてる事が…

ジミナ以外の愛は僕にとって不必要なんだ…



シュリは泣き叫ぶ



泣いても…優しくなんかしない…

君を勘違いさせた事は謝る

それと…守ってくれた事も…感謝してるよ

だけど…君じゃない…

僕が愛すべき人はジミナだから…



そう言って家に入って行った




ジミンは1人の夜を過ごす

部屋を片付ける

出窓のところにはジョングクとの

想い出の写真を飾る

ドライフラワーも花瓶に入れ

写真立ての横に置いた



グク…雪が降ってるよ

春なのに…ね…

まるで僕の心みたいだ…

いつまで待っても来ない春

陽の当たる明るい未来は

きっとグクなしじゃ来ないんだろうね…



写真の中の僕たちは

こんなにも幸せに溢れているのに

今の僕はどんな顔してる?

いつかグクがいなくても

こんな笑顔が出来る日が来るのかな…

幸せだと感じる日が…



1人の部屋で燦々と降る雪を眺めながら

ずっと…ジョングクを想う



ジョングクもまた同じ様に

降り注ぐ雪を1人眺めてジミンを想っていた




(つづく)



画像お借りましました。ペコリm(_ _)m