ジョングクと学校へ向かう

校門に着くと自然と別々に歩く

周りの目を気にしているからだ…



少し前を歩くジョングクの背中を

無意識に見つめていた



そんな僕の横を走っていく人





シュリだ…






ジョングク君おはよう



あぁ、おはよう



今日の体育一緒だね、楽しみ!



そう…




楽しそうにジョングクに話しているシュリ

ちらっと僕を見た


僕はわざと目線を外した



ねぇ、ジョングク君



シュリがジョングクの腕を掴み歩く

僕の心は掻き乱されていた





『触るなよ…僕のグクに…気安く触らないで…』





そう…思っていても

声に出す事も態度に出す事も

出来ない…

素直に表現できる事がどれだけ

幸せなものなのか…

シュリが羨ましかった…




僕は俯き方向をかえる

遠回りして教室に向かった




教室に入り深い溜息が出た




おはよう、ジミン

でかい溜息ついてどうした?




おはよう…

いや、何でもないよ…




もう少しで受験だし

ジミンと学校で会えるのも

数えるくらいだな…




そうだね…

もうすぐ…高校生じゃ

なくなるんだね…僕たち…




残り少ない高校生活

楽しく過ごそうな、ジミン




うん…





もう少しで学校に来なくてすむ

そうなれば今朝みたいな風景も

見なくていい…

胸が締めつけられるような事も…

きっとなくなる…





あれほど学校が楽しいと思えていたのに

今は学校って空間が

僕から色を奪うモノクロの冷たいただの箱…

そう感じさせられた






2学期の終業式


昼前に下校



ジミン、また年明けな



うん、勉強頑張ろうな



おぅ、じゃ…

あっジミン!



何?



メリークリスマス



クリスマス…?



今日はイブだけどな!



あぁ、ホントだね…忘れてたよ

メリークリスマス!



イブ…

忙しくて日にちなんて気にしてなかった

グクに何も準備してない…



笑顔で手を振り友達たちと別れる



塾に向かいながら

ジョングクの事を考えていた


イブなのに…何も言ってなかった…

受験の僕に気を使ってるんだろうけど

付き合って初めてのクリスマス…

何にもないのはやっぱり淋しい…



行く方向を変え走った



ジョングクとの初めてのクリスマスに

記念になるもの…

街に出てプレゼントを探す事にした




イルミネーションが綺麗で

特別な日だった事を実感する




ウィンドウに飾られたマフラー

直感でこれだ…と

店に入る



あの飾ってあるマフラーありますか?



こちらになります



これください、プレゼントで…



では、少々お待ちください




店員さんが丁寧に包装してくれている

包むのをワクワクしながら待った



グク喜んでくれるかな…




プレゼントを受け取り

塾へ向かいながら

ジョングクへメールを入れる




今日塾が終わったら会える?

21時に塾近くの公園で待ってる




込み上げてくるワクワク感に

顔が緩む




塾が終わり急いで公園に向かう


空気はとても冷たくて

吐く息が白かった



公園に着き薄暗い中辺りを見渡す




グク…まだかな…?




凍えて悴んだ手に

息を吹きかけ温める


しばらくベンチに腰掛けて待った



遅いな…

いつもなら先に来て待ってるのに…



携帯を見る



21時半…



メールの返事もなかった…



来れないのかな…



何かあったのか心配になる

ふとシュリの顔が浮かんだ…



もしかして…シュリと会ってる?



連絡しようとした手が止まった



まさか…だけど

もし本当に会ってたら…

僕のとこに行くのを止められてたら…




携帯を握りしめ目を瞑った


悪い事は想像しない

グクを信じてるから…

きっと…来る…だから…

ここでずっと待つんだ…




冷たい…



頬に落ちた雫



顔を上げ夜空を見上げる



雪…



ひらひらと舞う細かい雪が

降り始めた



…キレイだ…




クリスマスイブに降る雪は特別に感じる


ベンチから立ち上がり

両手を広げ雪を浴びる




グクと見たかったな…雪…




初雪は幸せを呼ぶ

好きな人と見るとずっと一緒に幸せでいれる

そんなジンクスがある



グクもどこかで見てるかな…




一緒に見てますよ、雪…




声がする方へ向く




グク…




遅くなってすみません




初雪…だよ…

キレイだね…



キレイですね…

でも美しい心を持ってる

あなたの瞳に映る雪が

一番キレイです



えっ…?



寒いのにこんなに待たせて

本当にごめんなさい



いいんだ…会えたから…

それに初雪にも会えたし…




ジョングクは僕を強く抱きしめる




愛してます、ジミナを…




うん…僕も愛してる…

クリスマスだってすっかり忘れてた

グク…何も言わなかったし…



受験勉強大変だし

クリスマスなら来年でもいい…

でもこうやってイブに会えたら

やっぱり嬉しいですね…



やっぱり気を使ってくれたんだ…

僕ねプレゼント用意したんだ…




ベンチに置いた箱を取り

ジョングクに渡した



開けてみて



ジョングクは嬉しそうに箱を開ける



マフラーですか?



グクに似合うと思って

一目惚れしたんだ…これ…



ジョングクはすぐに巻いてみせてくれた



よく似合うよ



ありがとうございます

大切にしますね

僕からもプレゼントあるんです



本当に?



かわいい袋を僕に渡してくれた



開けていい?



はい、もちろんです



手袋…



受験の日手が冷たいと困るから



嬉しいよ…本当に嬉しい…

ありがとう、グク 



僕もすぐに手袋を着けてみた



似合う?



とても、似合います

暖かいですか?



あったかい…



受験が終わったら

デートしましょう

風邪引かないように気をつけて

頑張って下さい



ありがとう

グクのためにも頑張るよ



ジョングクは小さく頷き

僕に優しく微笑んだ…





来年もまた一緒に雪…見れますかね…



きっと…見れるよ…



ジョングクは僕の肩を抱き寄せ

首に巻いたマフラーの片方を

僕の首に巻いた



暖かいですね…




うん…

じゃこれも半分こしよう




手袋を片方外してジョングクの手に着けた




暖かい?




はい、すごく…温まります




着けてない方の手は

こうやって繋げば寒くないね




そうですね…

ありがとう、ジミナ…




ん?




忙しいのに時間作ってくれて





僕の方こそありがとう




最高のイブになりました

雪も一緒に見れたし…

やっぱり僕たちは運命で繋がってる




神様が僕たちのために

初雪を降らせてくれたんだ…




感謝しないと…




そうだね…




僕たちは夜空を見上げながら

舞う雪をいつまでも眺めた



この雪が僕にとって唯一

この特別な関係を

認め祝福してくれている

そんな気がした…



(つづく)



画像お借りしました。ペコリm(_ _)m