2人で学校へ登校する

1日休んだだけなのに

久しぶりに来た様な気になった



心配かけた先生へお詫びに行く


先生は何も聞かず

無断欠席はしない様にとの注意だけされた




教室に入る

なんだか様子がおかしい気がした

違和感を感じながら席に着く



よう、ジミン、おはよう



おはよう



昨日どうした?



ちょっと…ね…



あの事は気にしなくていいぞ…



あの事…?



えっ?違うのか?



何の事…?



知らない…のか…?



だから…何…?



いや、知らないなら…いいんだ…



何だよ、気になるじゃないか…



いや…いい…



何んなんだよ!



少し声を荒げた僕をクラスメイトが見る



ジミン…ちょっとこっち来い!



教室から連れ出され渡り廊下に出る

携帯を取り出し見せられた画面



これが裏垢に出回ってる



僕とジョングクの家に投函されていた写真

やっぱりこの2人できてる

男同士で恋愛ごっこ

マジ気持ち悪い


そう書かれていた



僕は言葉を失う



ジミン…気にするな…

言いたい奴には勝手に言わせとけばいい…



………




…本当…なのか?

これ…合成とかじゃなくて…




…それは……




廊下が騒がしくなった

走って行く人たちを目で追う




何事だ…?




ジョングクが暴れてるらしいぞ



マジで⁉︎




ジョングク…?




僕はジョングクの教室へ向かい走った



ジミン!



ジョングク…ジョングク…




教室に着くとジョングクが

同級生に馬乗りになり怒っていた




ジョングク‼︎




僕の声でみんなが振り向く

一気に注目を浴びた




やめろ、ジョングク!




ジョングクはゆっくり立ち上がる




ほら、彼女のお出ましだ

急に大人しくなって

やっぱり噂は本当だったんだな




ジョングクは睨みつけていた




ジョングク…




僕は…僕が誰を好きになろうと

お前らには関係ないだろ?




やっぱり本当か…

マジないわ…




凍りつく様な壮絶な場に

僕はなす術はなかった

そんな時、声を上げたのは

シュリだった…






ジョングク君は…

ジョングク君は…

私の…彼氏よ…あれは

合成写真で本当は私と付き合ってる…




えっ…?




シュリがジョングクと付き合ってる…?




マジかよ…



そうなの?シュリ?

いつから?えー聞いてない!




教室の空気がシュリの一言で変わった



僕はシュリが咄嗟の判断で放った言葉だと

わかっていた…

ただ…なぜか…ショックだった…



いや、違う…

シュリとは付き合ってない…



隠さなくていいじゃないか




お似合いだよ




じゃあ、この写真合成じゃないか…




誰だよ、こんなふざけた事したの




隣同士に並んだジョングクとシュリ

やはり…お似合いだ…


僕は静かに教室を去った



自分の教室に戻ると

さっきの話がもう広がっていた



ジミンもとんだ噂に巻き込まれて大変だったな



男同士とかありえないし



だから言っただろ?違うって…

なぁ、ジミン?



僕は何も言わず席に座った



これで良かったのか…?

事実を知られたらマズイ…

だから…これで良かった…んだ…




この日は1日中上の空で

何も考えられなかった…




放課後…ジョングクを屋上で待つ

誰とも関わらなくていいこの場所で

やっと息をした気がした…



柵に上り深呼吸する

目を閉じると今日の出来事が

走馬灯の様に頭の中を巡った




今日の朝まではあんなに幸せだったのに…

やっぱり僕…幸せになれないんだ…




下から騒がしい声が聞こえる



瞑っていた目を開けて

声の方に目線を向けた


そこにはジョングクとシュリがいた

周りにいる同級生に冷やかされながら歩く2人

校門に向かって歩いていた…



2人の後ろ姿を見つめる

かっこいいジョングクと

かわいいシュリは画になる…

僕とじゃ…そうはいかない…

気持ち悪いとか、おかしいとか…

否定的な言葉しかない…僕とは違う…




柵から下りてカバンを持つ



僕…って…なんなんだ…

僕の人生って…なんだよ…

なんでこんな事ばっかり…

何も悪い事してないのに…

どうして…



下を向いた顔を上げる事すら出来ない

戦う気力も…

本当の事を言う勇気も…ない…

弱虫な僕に…幸せなんて…来る訳ないんだ…



大粒の涙が溢れ出す

不甲斐ない自分に腹が立ってしょうがなかった




夜遅く家に帰る

散々泣いた僕の目は腫れていた



何も言わず部屋へ行った


カバンを置きベッドに飛び込んだ…




しばらくしてお母さんが部屋へ来た



ジミン…?帰ってるの?

開けるわよ…



扉を開けてベッドに倒れている僕の頭を

優しく撫でてくれた…

その温かく柔らかな手に安心した僕は

嗚咽する様に泣きじゃくった


そんな僕に

何も聞かずずっとそばにいてくれていた




ねぇ、ジミン…

お母さん…

ジョングク君の事思い出したって言ったでしょ?

小さい頃裏の公園によく来ていて

一緒に遊んでたのよ…

目がクリクリしてかわいい子だった…

ジミンをえらく気に入っていてね

ずっとついてまわってたの…

ある日…ジミンが

新しい砂場セットを持って行って

テヒョン君とそれで遊んでたんだけど

ジョングク君も遊びたかったみたいで

テヒョン君の持ってたスコップを貸してって

お願いしてたんだけど

テヒョン君がジミンが自分だけに

貸してくれた物だからって離さなくて

しびれをきらしたジョングクが無理矢理

奪おうとしてテヒョン君がスコップを振り上げた時

頬に当たって怪我をしたの

それをみて止めに入ったジミンを

泣いてたジョングク君が押して

倒れた時に頭を角でぶつけてジミンも怪我したのよ

それからジョングク君は公園に来なくなった…

あなた達はずっと前から出会ってたのよ…

ジミンもジョングク君が好きだったし

会えるかな…って言ってたから…


何があったかはわからないけど…

泣かないで…ジミン…

何も考えず眠りなさい…



お母さんは僕の背中をトントンとして

部屋を出て行った…




ジョングクとの出会い…

僕の頭の傷…

ジョングクの頬の傷…

僕たちが幼い頃から一緒だったんだ…

だけどお互い怪我した事で

引き離された…そう言う事だよね…



運命…

ジョングクが好きな言葉

どんなに自分で行く道を変えようとも

待っている結末は決まっている…

それが運命…



カバンの中で携帯が鳴る

きっと、ジョングクだ…



携帯を取り出し電話に出る



ジミナ?



グク…



声…いつもと違うけど…大丈夫?



大丈夫だよ、心配しないで



今日屋上行けなくて…ごめんなさい



いや、いいよ

久しぶりに1人で空見上げてたから…




今日の事…




シュリに助けられたね…

良かったよ…




うん…そうだね…

でも僕は…本当の事がバレても良かったんだ…




いや…これでいいんだ…

しばらく落ち着くまで待とう




シュリにはちゃんと話します

僕とジミナの関係




そうだね…

ごめん…なんか疲れちゃって…

もう寝るね…




わかりました…

それじゃまた明日…




また明日…ね…

あっジョングク…



何…?



朝…迎えに来たりしないで…

1人で行くから…



…何でですか?

どうして…?




とりあえず明日はいいから…

それじゃ…




僕は電話を切った




冷静を装って平気なフリは限界だった…




翌日


いつもと変わらない平和な学校

ジョングクとシュリの事以外は…



1日ジョングクに会わず

学校帰りそのまま塾へ向かった




勉強してる時は

少し楽だった…何かに夢中になっていれば

嫌な雑音も聞かなくて済む…



自習室に残った

こうしていれば電話もメールも

見ない理由になるからだ



必死に勉強していた…

その時誰かが僕の背中をたたく



振り返るとそこにはシュリがいた



あっ…



先輩…お疲れ様です



どっどうも…



ちょっと話いいですか?



話…?

いや…もう帰らないといけないから…



僕は慌てて教材を片付ける



ごめん…急ぐから…



リュックを肩にかけ逃げる様に部屋を出た



待って下さい、先輩!



走る僕をシュリは追いかけて来た



待って!



僕の足が止まる



今日、ジョングク君から全部聞きました…

先輩との事…全部…



……




気付いてました…

2人の事…知ってました…

だから…驚きもしなかった…

先輩は私の気持ち大切にしてくれていたし

ジョングク君とも普通に話せる様になったのも

全部…先輩のおかげです




僕はゆっくりシュリの方を見る




でも…先輩とじゃ…彼は幸せになれない…

そう思いませんか?




僕…とじゃ…幸せに…なれない…




私に…譲って下さい…

ジョングク君を私に…譲って欲しいんです

私となら…彼は幸せになれる…

誰に否定される事もなく…

穏やかに過ごせます…

だから…譲って下さい…




譲る…

譲るって…何…?




お願いします…

彼を自由にしてあげて下さい…




自由…




僕といる事が不自由だと…

僕とじゃ…無理だ…って…事…

次の言葉が見つからない

僕たちの恋は不自由なのか?

幸せになれない…そんな恋だと…

他の人にはそう感じるのか…?




先輩…




僕は何も言わずその場から立ち去った

ショック過ぎて涙も出ない…



トボトボと力なく歩く僕…

駅のホームでただ…

僕の前を通り過ぎる人を眺めながら

ただただ立ち尽くしていた…




(つづく)


画像お借りしました。ペコリm(_ _)m