高齢と呼ばれる部類になった両親がある時!

父は定年退職をしてから、都会を離れて以前から夢だった田舎に移住し、畑を耕して野菜作りを楽しんでいました。母も父のお手伝いをして引越しをしたので、両親と会えるには私が会社でまとまった休みを取ることができる、お盆や正月くらいでした。高齢と呼ばれる部類になった両親ですが、田舎に引越しをしてからは性に合ったのか、以前よりも生き生きとした表情を見せてくれていたので安心していました。

しかしある時、私が会社で会議に参加していたら、母から電話がありました。会議中は電話に出ることができなかったものの、母から私が勤務中に電話がかかってくることは今まで一度もなかったので、嫌な気持ちになりました。会議が終わってすぐに電話をかけなおすと、父が交通事故にあって集中治療室にいるといわれて頭の中が真っ白になりました。集中治療室ということは、かなり深刻な状態だということだと思ったので、手が震えてしまいました。

すぐに上司に報告して会社を早退させてもらうと、両親が住む場所に車を走らせました。いつも遊びに行くときは楽しいドライブになるのに、今は一分でも早く両親の近くに行きたいと思ってもどかしい気持ちになりました。

かなり父の容体が悪く脳出血を起こしている

病院につくと待合室で座り込んでいた母の顔を見て、かなり父の容体が悪いということを理解しました。母が倒れんばかりの状態になっていたので、私が父を診てくれた医師に話を聞きに行くことにしました。父は強く頭を打っていて、意識が戻らないだけでなく、脳出血を起こしていることがわかりました。このまま意識が戻らない可能性が高いと言われ、覚悟を決めなければならないということはわかっているものの、ただ気持ちが暗くなるばかりでした。

そして数時間の、父がいる集中治療室に呼ばれ、医師からは脳死判定が出されました。父はまるで眠っているように安らかな顔をしていましたから、父が脳死状態になっていることが信じられませんでした。その後、お別れを告げて父を看取ることになりましたが、いまだに父が気さくに笑いながら帰ってくるような気がしてなりません。

お線香をあげ、お別れを告げて父を看取る