一年生の絵の具の使い方講習は

一クラス、図工の時間二時間使って

道具の使い方、絵の具の出し方混ぜ方塗り方、片付けまでをやります。


なぜ講師がやるのか。

それは先生達では準備が出来ない部分まで用意をして

「絵を描くことが好きになる!」を目標にやっているので

先生がやる授業とは少し違います。


子供達も、いつもと違う大人が来ることにより、

気が少し引き締まるのもあって

先生達からはとても感謝されます。


この時期にやるので

園児から児童になってまだ2ヶ月の子供達。


学校によって違いますが

挨拶も出来ない、座っていられない

話が聞けない、理解できない


そもそも自分で何も出来ない。


そんな子たーっくさんいます。



さて

何年か前に行った学校でのこと。

10年の中で一番覚えている子の話。


その子は男の子で

真ん中よりちょい右の一番前の席に座り

メガネをかけていて華奢な子だった。


はじまりの挨拶を終え

道具をひとつずつみんなで一緒に取り出す作業。


「まずは筆を出すよー!

あったかな?二本出しますよー!」


と、私も自分の道具を見せながら一緒にやっている。


するとその華奢な男の子が


「わからない。。わからない。。。」

と言い出しました。


なので、

「筆だよー!これだよー!」と教えてあげると


「これか!これはぼく使ったことあるよ!」

と、さっきのわからないの声とは全然違う声のトーンでしゃべるしゃべる。


「そーなんだねー!」

と笑顔で返す。


「では次は、絵の具を出すよー!

赤と青と黄色を見つけて出してー!」

と見せながら言うと


また、

「わからない。。わからない。。。」

と、泣き出しそうな声でずーっと言うのだ。


なので手助けに行くと


「この色か!これはわかるよ!

だって使ったことあるし、ぼくこれで○○を描いたことあるよー!それでね…」

と、また、よーしゃべる。


「そーなんだ!すごいねー!」

と返す。


内心、え?と思い始めた。


その後もひとつひとつ出すたびに


「わからない。。わからない。。。」

と言う。


これを毎回見に行くと時間が絶対に足りなくなるし

授業が進まなくなる。


だけどこの子、泣き出しそうなくせに

めっちゃ声がデカイ。


対処しなきゃしないで授業の妨害となり結局進まない。


新手な戦法だと感じた。


そうか、これは、かまってちゃんか。と思い

「聞いていればわかるよー!」と、声をかけるだけにして手助けをやめたら


案の定、すべてを投げ出し態度が急変。

泣き出した。


そこでやっと補助の先生が1人付くと


上機嫌で、饒舌!

その補助の先生に言ってるんだけど

クラスみんなに聞こえる大きな声で

自分がどれだけ出来るかを自慢するのだ。


私には正直お手上げだった。


休み時間になると

一番に来て私の手を握り話すのだ。


幼稚なのか、知恵があるのか、、

子供らしくない子供だな。そう思った。