ここ2日間、結構落ち込んでいた。

 

 

 今回は、私の身体の方のポンコツ具合がより深まったこと等を愚痴りたい。

 

 

 

 こうなる予想はしていたが、実際にもう対処療法ではどうにもならない段階まできてしまい、凹んだ。

 

 

 

 過去記事にも書いたが、私は心身ともにポンコツだ。

 今も昔も、鼻・腰・歯・心等…様々な分野で、何かと病院通いが必要だし、メンテナンスを重ねても治ることがない。

 

 

 

 

 その中で、今回話題にする具体的な部位は、歯だ。

 歯って、私が抱える持病の中でも、本当にお金がかかる部位のひとつだ。

 

 

 

 定期メンテナンスや虫歯の治療くらいならばそれほどでもないが、私のように重度の「食い縛り」の症状がある人間の場合、歯の治療に関して、膨大な時間と費用を要することとなる。

 

 

 

 なにせ「食い縛り」は、寝ている間等の無意識下でやってしまうことなので、防ぎようがないのだ。

 

 

 

 具体的な食い縛りの症状としては、とにかく長時間に渡り、力を込めて歯を噛みしめてしまうというシンプルなものだ。

 

 

 

 だが、噛みしめた時の顎の力というものは非常に強い圧がかかるもので、長い時間、しかも毎日のように無意識下で歯や顎に圧をかけることで、歯や顎が駄目になっていくのだ。

 

 

 

 歯の一部分が欠けるだけ、みたいな程度のことなら、そこまで気にすることはないだろう。

 しかし、実際は、食い縛りによる圧で、私に毎回、とんでもない健康被害をもたらす。

 

 

 

 通常、歯には神経が通っているため、例えば歯の治療をするときなどにドリルで歯を削ると、中程度まで削り進めると、麻酔なしでは激痛が走る。

 

 

 

 ところが、私の一部の歯は、長年の食い縛りの蓄積により、歯の神経がほとんど死んでしまい、麻酔なしで削られても非常に鈍い痛みを感じる程度になってしまっている。

 

 

 

 その上私は、同じく食い縛りの蓄積により、歯の根元がヒビ割れてしまって、そこから雑菌が侵入し、ヒビ割れした歯周辺の歯茎に1センチ程のサイズの膿が溜まったこともあった。

 

 

 

 さて、神経を失ったり歯の根元がヒビ割れてしまった場合、刺し歯のように比較的安価な治療手段はもう取れなくなる。土台に不安が残るため、ブリッジ治療等も出来ない。

 

 

 保存療法や対処療法はもはや効果はなく、むしろ新たな疾病を引き起こさないうちに、早急に抜歯するしか道が無くなるのだ。

 

 

 

 私は、抜歯するのは嫌だった。

 そうならないために、昔から出来る対策はしてきたつもりだ。

 

 

 

 今まで、食い縛り防止用のマウスピースはしていた。

 この食い縛り防止用のマウスピースというのは、高価な上に、マウスピース自体の洗浄やメンテナンスが非常に面倒くさい。

 特に、仕事していた頃の、時間がない朝等は、このメンテナンスタイムは殊更にうんざりとする時間だった。

 

 

 

 もちろん、普段から電動歯ブラシ・普通の歯ブラシの両方を使い、毎回かなり丁寧に歯を磨いていたし、歯間フロスだってしていた。これも、毎回時間がかかってうんざりする。

 

 

 

 ただ、それらは歯のために必要なことだと思い、仕方なくでもずっと続けていた。

 

 

 

 

 が。

 

 

 

 先日、ついに1本、抜歯が決まった。

 

 

 

 レントゲン等の検査やメンテナンスや対処療法を全てやりきって、結局駄目だった。

 

 

 

 

 …もう、私の年代はアラフォーだし、年齢的にも身体のガタが本格化してくる時期だっていうのは理解している。

 

 

 

 だけどさ、まさか、髪の毛より先に歯の方が無くなるなんて、正直思っていなかったな。

 

 

 

 先述したが、歯の土台となる根元がヒビ割れている上に神経も死んでいるため、刺し歯のような安価で手ごろな治療は出来ない。

 痛んだ歯を、その両サイドの歯にサポートさせるブリッジ治療も出来ない。

 

 

 

 

 私に残された選択肢は二択。

 部分入れ歯か、インプラントである。

 

 そして、このどちらを採用するにしても、かなりの費用と、日々のメンテナンス作業を要することとなる。

 

 

 

 

 部分入れ歯は保険適用だが、2万円前後かかる見込みだ。

 その上、定期的な交換と、毎日のメンテナンスが必要になる。

 

 

 自分に、こんなに早く入れ歯用の「ポリデント」が必要になるかもしれないだなんて、正直あまり想像出来ていなかった。

 40前後の人が入れ歯を必要としているのは、結構珍しいのではなかろうか。

 

 

 

 

 

 もう一つの選択肢であるインプラントは、自由診療のため私の場合だと50万円前後かかる見込みだ。

 

 

 インプラントを簡単に言うと、外科手術により顎の骨に穴をあけて釘をうちつけ、その釘の上に疑似歯を乗せるという代物だ。麻酔すると言えど、頭蓋骨に空けた穴はもう元には戻らないし、神経痛のリスク等も含め、普通にめっちゃ怖い。

 

 

 入れ歯のように、着けたり外したりという手間がないため、メンテナンス作業は入れ歯程ではないかもしれないが、問題点としては先述したとおりで、異様なまでに費用がかかる。

 

 

 歯1本のためにおよそ50万円程の出費。

 当然、高額療養費等の補助金の対象でもない。

 

 

 

 百歩譲って、50万円だとしても、それをすることにより永年に渡り効果があるのならば、正直インプラントでも良い。

 

 

 …しかし、現実には、インプラントの平均寿命は10年前後だし、私の場合だと食い縛りによりもっと早く壊れる可能性も否めない。

 

 

 

 

 

 部分入れ歯にして、毎日マウスピースと入れ歯のポリデント作業に明け暮れた上に、数年に1度は壊れるという入れ歯代2,3万円を、定期的に歯医者へ献上する生活をするのか、

 

 

 

 はたまた、大金により、期間限定のメンテナンス免罪符を受け取るのか。

 

 

 

 …はぁ。

 

 

 こういう類の出費は、今回が初めてというわけじゃない。

 

 過去にも、部位は歯ではないが、通院やメンテナンス等の手間を要し尚且つ特大の費用が発生した案件が、いくつかある。

 

 

 それらが起こる都度、仕方ないことだと、割り切ろうと、いつだって思おうとしている。

 

 

 

 

 

 …けど。

 

 

 

 

 

 けど。

 

 

 

 

 

 

 やはり、うんざりする。

 

 

 

 

 

 

 

 運動神経が悪いだけではなく、物理的な耐久力も低い私のこの身体に、心底うんざりする。

 

 

 

 

 今回起こった歯の問題は、一発限りというものではなく、私のどの歯にも起こりうる問題だ。だって、睡眠中の無意識下で行う食い縛り自体は治ったわけでもなく、しかも防ぎようがないものだ。

 

 

 

 この食い縛りはストレス由来のものらしく、仕事を辞めれば少しは緩和されるものかと期待していたが、それでも食い縛る。うんざりする。

 

 

 

 いや、正確には、以前よりは食い縛りは緩和されているのだと思う。ただ、40年ほどに渡る長年の圧力の蓄積+加齢による劣化が重なり、今回の結果として表に現れたのだろう。

 

 

 

 はぁ。

 

 

 

 今回のことは、費用もそうだが、何よりも長年の治療やメンテナンスが報われなかったという結果そのものが、本当に悔しい。これまでの人生で、歯に対しあれだけの時間・通院・各種費用を費やしても、結果としてはこのざまだ。

 

 

 

 …仕方ない、私にはこの身体と心しか用意されていない。

 スペアもなければ、万能リペアキットもない。

 

 

 

 今も昔も、ずっと同じだ。

 配られたカードが死ぬほど弱くても、弱いなりに最善を尽くす。

 私に出来ることなんて、それしかない。

 

 

 …

 

 

 ……

 

 

 

 それと、もう一つ、心に引っかかることがある。

 

 

 

 それは、私の検査を終えた時の、歯医者さんから私への「今後の選択肢の提示方法」についてだ。

 

 

 

 私は、真っ先にインプラントを勧められた。

 

 しかも、費用の説明をするより前に「世界的に主流だ」や「一番確実な治療法」という枕詞を添えてだ。

 

 

 

 もちろん、歯医者としては、良かれと思ってという部分もあるのはわかる。

 

 私の場合、ただでさえ症例が食い縛りの中でも極端なレアケースだし、入れ歯やブリッジよりは優先度が高いと思ったのかもしれない。 

 

 

 

 でもさ。

 

 

 

 それにしたって「ダントツで1番高い治療法」についての「聞こえが良い枕言葉」を「1番最初に持ち出す必要」って、あるかい?

 

 

 

 

 まずはじめにやるべきことは、現時点で取ることが出来る選択肢の提示と、その選択肢を選んだ場合の費用の説明だと思う。各選択肢の具体的なメリット等デメリット等の説明は、その後にすればいいことだ。

 

 

 

 外科的な手術と多額の費用が必要となるインプラントの長々と宣伝など聞くより、今後私にはどのような選択肢が残されているのかを真っ先に知りたかった。

 

 

 

 

 私は、悲しかった。

 歯医者にそのつもりがなかったとしても、やはり、悲しかった。

 

 

 

 

 彼の、医者としての腕や人柄を信頼しているし、必要ならばお金だって当然払う。

 

 ただ、真っ先に「商売っ気」を感じるような説明を、何よりも優先されてしまったことが、本当に悲しかった。

 

 

 

 この日の私は、1時間半にも及ぶ検査の間、大きく開けた口を1度も閉じることが出来なかったため、検査後は口内が完全に干からびていたし、顎の感覚が無くなっていてでうまく喋ることもできず、その検査が終わった後に「世界的に主流」とやらの説明を、ただただ黙って聞いていることしか出来なかった。

 

 

 その間、なんとも寂しく、心細かった。

 

 

 

  インプラントの有用性をひとしきり聞いたあと、ようやく口をすすぐよう言われ、私は喋ることが出来るようになった。

 

 

 

  歯医者が、その他の選択肢についての説明をし始めたのは、喋ることが出来るようになった私の方から、その他の選択肢についての質問を投げ掛けた後の事だった。

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 歯医者にとって、私は格好の営業相手だ。

 

 歯医者は医者である以前に商売人であり、人間である限り自分の生活を豊かにすることが第一優先だ。

 

 

 

 しかし、今の私には、それらの感情を整理整頓することに、すこし時間がかかる。

 

 

 

 正直、費用と同じくらい、この件が心に引っかかっている。

 

 

 

 邪推し過ぎる必要などないのだが、本当に、めちゃくちゃ信頼していたからこそ寂しい。

 

 

 

……

 

 

 …疲れたなぁ。

 

 

 

 もっと深刻な問題を抱えている人は山ほど居て、私が乗り越えたりぶち当たったりした壁なんて「〇〇に比べればマシ」なんて話はいくらでも探せばあるのはわかる。

 

 

  癌等の命の危険もある不治の病や、生まれつきや後天性の重度の障害等に、理不尽に翻弄されつつも懸命に戦う人を、当然、物凄いと思う。

 

 

 しかし私にとって大事なのは、顔も知らない誰かと自分の深刻さを比べることではなく、今の自分の率直な気持ちだ。

 

 

 

 どう転ぶのも怖かったり面倒くさかったりで、うんざりなものはうんざりだ。

 

 

 

 

 心身共にポンコツな自分に対し、心底辟易としている。

 

 

 

 

 なんやかんや徹夜してしまったし、太陽でも浴びてしばし気分転換をしてこようと思う。

 

 

 

 自分の機嫌は自分で取る。

 こんな時に、気軽に軽口を言えるような友人が居たら良いのにな、とつくづく感じる。