コラム欠陥住宅の基礎知識 -79ページ目

六会コンクリート偽装問題 NHK発「特報首都圏」より

2008年9月5日、NHK特報首都圏という番組に私が出演し、コメントしました。
テーマは、また、住宅への信頼を揺るがす偽装事件が起きてしまったことです。
そして現在においても未だに解決されない問題となっているということなのです。

事件は今年7月、住宅の壁や柱などに使う生コンクリートに違法な物質が使われていたことが発覚しました。
その結果、建築基準法違反となった物件は69件。
中にはすでに入居しているマンションもありまして大変な問題になっているのです。


問題のコンクリートに混ぜられていたモノは「溶融スラグ」と言います。
家庭ゴミなどを焼却した灰をさらに高温で溶かして作られる「ガラス質」の物質。
いわゆるリサイクル品として、道路の下に敷き詰める材料などとして使われていますが住宅用の生コンクリートの材料としては認められていないものなのです。

これを生コンの材料となる「砂」の代わりに混ぜた結果、マンションの壁などが膨らんではじけ落ちるようなポップアウトと呼ばれる「ある異変」が起きてこの問題が発覚したのです。

何故、このようなことが行われてしまったのでしょうか?


●マンションの他にもホテルや事業所などで発覚。
●出荷したのは、神奈川県の六会コンクリート株式会社。会社は緊急会見で偽装を謝罪。
●出荷先は神奈川県一帯。400現場、法違反69物件。

マンション住民の方の人生まで変えてしまうかもしれないこの違法コンクリート問題。
生コン会社は、一体何故「溶融スラグ」を混ぜてしまったのでしょうか?という問いに対して、理由は良質な砂の枯渇が最も大きい原因であるとしています。
その上で六会コンクリート株式会社の社長は「大変申し訳ありません。誠意を持って補償したい」とテレビで発言しました。
ところが、未だに法違反となっているマンションは、納得の行く解決となっていないのです。

国土交通省は委員会を組織して、この問題に対しての安全性を検討しました。検討の結果は外装部材の脱落などが起きる可能性は否定できないとしながら、おおむね安全性が確認できたと発表。しかし経過観測が必要であるとのコメントを残しております。

でも普通に考えて経過観測を要するのであれば、何があるか分からないということではないでしょうか。安全であるという根拠にはならないのではないかと思えるのですが。


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民事22部12号調停室 2008、11、25

有料老人ホームを営むS社が、茨城の元設備業者、現ローカルゼネコンのA工業に欠陥建築を建てられてしまったことによる、損害賠償裁判である。欠陥の内容はA工業が建物1階のレベルの設定を間違えたことで、建物アプローチに計画に無かったスロープが出来てしまい、老人の歩行や車椅子がの自走が出来なくなったことに起因するものである。
ハートビル法など、導入部のスロープの勾配を規定する法律もあるが、設計図に示されている数字を間違えた以上、瑕疵と判断するべきであろうと調停委員会も同意した。




しかし問題は回復方法とその修繕費用である。建物は上げることは出来ても、下げることは出来ない。リフトなどの機械の併用による昇降補助なども考えられるが、大江戸線が走っている幹線道路に面しているので、掘削制限があるとのことで、なかなかまとまらない。
いずれにしても数千万、場合によっては億の金額がかかるような工事であることは間違いないと思われるが、調停委員にそれだけの審判を期待できるかどうか、心配である。しかしながら「補修を要する瑕疵」との判断には漕ぎ着けたので、後は方法論の問題である。



エレベーターホール開口寸法不足


しかしA工業はレベルすらとれないのか、また自分達の間違いを何故素直に認められないのか、理解に苦しむ事件である。そう言えば鉄筋の数を間違えた清水建設というスーパーゼネコンもありましたね、A工業はローカルゼネコンで不況を乗り越えられるのかが大きな疑問であります。
使っていたM設計という人のせいにして、言い訳答弁を重ねているようですが、実はM氏はA工業に雇われているのです。つまり設計施工での一括発注だったのです。


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フジテレビ・スーパーニュース・欠陥住宅2008,11,27

久々のスーパーニュースです。今日放送の欠陥住宅は、宮城県に建つ「たぬきが来る家」として雑誌にも掲載された家である。しかし「たぬき」とは実はこの建物を設計したH建築士のことであり、施主のTさんとH氏が、いかに信頼関係が希薄であることを比喩するような例えである。


たぬきが来る家

本件建物が欠陥建築物となった背景としては、設計者Hの悪意と施工者S社の無知と考えられる。設計者Hは地元で公共事業等の設計や、みやぎ版住宅と称するプロジェクトにも参加しており、一見建築士としての社会性があるように感じられるが、実はこの設計者Hは、自ら図面の作成すらしていないことが確認できる。証拠として、図面に記載している自らの建築士免許番号の桁を間違えていたり、構造図と意匠図の通り芯位置が異なっていたり、他人にさせた仕事の監修が出来ていないことに起因すると考えられる稚拙なミスではあるが重大なミスが数点におよび指摘される。逆に設計者Hが図面はすべて自分で描いたと主張するなら、不注意極まりない不完全な仕事であって、凡そ他人から報酬を得る仕事には値しないと判断されることになる。また本件建物は基礎の鉄骨架台の構造計算において、耐震強度偽装事件同様の計算の入力偽装までも確認されており、強度の低い、手抜き工事された架台の上に本件建物は建っている状況である。


梁のねじれと干割れ


土に埋設された鉄骨柱

設計者は本件建物のこれだけ悪質な瑕疵を指摘された際にも、誠実に回答することをせず、地元の法律家を経由して「300万円の解決金」で本件紛争を終結させるべく申し入れをしてきたわけであるが、瑕疵の程度から判断すれば、到底回復には及ばないことは明らかである。


デッキに柱、積雪時に揺れ

設計者Hの自邸は、みやぎ版住宅の「○○型森を育む健康な家」のホームページ上で、建設時の工事状況を閲覧する事が出来る。「健康な家」と題する通り、建物の土台には、ヒバ、クリ、カラマツ等の無垢材を使用し、防腐防蟻に対しては、有機リン系の薬剤を使用せず、木酢液を塗布し、自然環境や人体の健康に配慮した設計が伺える。本件建物の土台も、図面並びに見積書ではヒバ材に木酢液の塗布が指定されているが、実際に使用された土台は、米マツやカラマツ等の輸入木材を、工場で防腐防蟻薬剤を加圧注入した土台であり、見積よりも安価な木材を使用した悪質な手抜き工事であることが指摘された。一般に、製材された木材の産地を特定する事は不可能であり、また、無垢材は、割れ、反り、痩せ等の言い訳が出来る為、食品以上に産地偽装などを悪用することは容易であり、手抜き工事の温床となることが指摘される。本件建物に関しては、土台に限らず、内装、外装用木材の厚さ不足や加工手間の手抜き、含水率の高い構造木材を含めた無垢材の割れや反り、また痩せ等に起因する変形が各所に散見される。また、埋設や露出した基礎の鉄骨架台は、耐久性や維持管理に対する配慮がなされていない。また基礎を鉄骨架構とした必然性はまったく確認できず、意匠性、安全性、施工性、耐久性、どの観点からも本件建物の設計内容の正当性は見出すことができない。
本件建物の設計者Hは、数多く私が関わった業者の中でも、悪人の部類に属すると思う。


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東京地裁民事22部3号調停室2008,11,27

本件は設計者と施主の間での紛争である。設計者は元来施主の求めに応じて建物を設計するべき立場にある。本件紛争の経緯を見るにつけ、設計者が施主の意向を無視したりまたは曲解したりして、結果として身勝手な判断のもとに有害無益な図面を作成し、手直しや説明を要求されてもそれに応えることが出来ず、口論を重ねた挙句、決裂したということが発端となっている。
私としても、そこに至るまでの状況の中で、数回両当事者を交えて面談する機会に立ち会ったが、施主のI氏側は既にW設計に対しての信用を逸していたため、口論に終始し、結果として発展的な話ができなかったと記憶している。
設計者というものは業界の習慣として、いくつかの恩恵を被ってきた。そのことはあえて施主にも社会にも他言せずに至っている。本件の設計者であるW氏はその特権を行使する状況をことごとく排除されたことで、本件建物設計業務に対して、あまり力が入らなくなり、Ⅰ氏に稚拙な設計上の不備を指摘されたことに激情したり、自らが雇用する構造設計者や設備設計者の素性の公開を要求されたり、同時に建築基準法改正による確認申請の遅延など、様々な障害要件に対して、解決しきれなくなったというのが本音ではないだろうか。その上で、後に引けなくなったことから「金払え」訴訟を仕掛けてきたと思われるのである。
設計者は、一般的には複数の施工会社に同時に見積を依頼して、上がってきた見積書の中で、最も安価な金額を出したところに発注するという、いわゆる競争入札をする手伝いをするが、最初から施工会社と内々で話を付けておくような場合もある。また競争入札すらしないで、最初から設計者の指名する施工会社に請負わせるというような場合もある。一部の設計者はそのような状況を設定し、特定の業者に対して便宜を図ることで、見返りとなる報酬を得るとされている。建設業界においては半ば当たり前のことなのである。いずれにしても一般的に設計者は、施工会社を選定する上で、指名権や発言権を有していると考えられる立場なのである。
W氏がどのような思惑を有していたかは不知であるが、Ⅰ氏によって業者選定の権限を払拭され、自らの無知をフォローしてくれる建設業者との人間関係を行使できない状況が耐え難かったのではないだろうかと思えるところもある。
何故ならばW氏は木造のモデュールも知らないことに加えて、輸入窓の取り付けも知らなかったのである。どんな設計内容であったかは読者の想像に任せますが、おそらくこのまま計画を進めれば「家」にはならなかったことは確かである。

本日の裁判では、設計図書が完了していたかどうか、その上でW設計が主張する追加設計費用が認められるかと言うことであるが、少なくともモデュールや構造に関して不備のある図面は、完了した設計図書とは言わないだろう。

裁判官はこちらの主張を理解を示したようである。


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東京地裁民事22部2号調停室2008,11,25

2007年9月18日の朝日新聞「わが家のミカタ・悲劇的ビミョ-アフター」に掲載された問題の法廷闘争である。

増築とリフォーム工事を依頼したOさんが、とんでもない工事をされて、申請うっかりさん相手に22部で争っています。

うっかりさんは、最初は瑕疵を認め修繕や交換を約束していたが、担当者が変わっていきなり請求書を送りつけて来るという手段に出たのである。詳しい状況は、http://www.kensa-firm.com/exp/case17.html  で見ることができます。

ところでリフォーム工事は大手企業であっても気をつけないと、なにをされるか分かりません。このOさんの例以外にもたくさんの事例があるので、順次紹介していきます。

ちなみにこの裁判は来年早々に証人尋問を行い、判決を取るということになります。そうしたら大々的に報道しますので、期待してください。


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