数年前のこと、ちょうど今ぐらいの時期に足摺岬のあるお寺を訪ねたことがある。
早朝から、てくてくと歩き、
お天道様が西の空に傾きかけた頃に、やっと山門をくぐることができた。
本堂と大師堂で読経をすませた後、
誰かに声をかけられたように本堂の裏手へと向かった。
たくさんの仏様方のお姿が目に映った。
とりわけ、ある仏様の前で立ち止まった。
菩薩とは、何だろうか。
法を守り、求め生きるもの。
生きとし生けるものすべて、みんなで彼岸にいたることを心から願っている。
衆生は無辺なれども 誓って度(すく)わんことを願う
福智は無辺なれども 誓って集(あつ)めんことを願う
法門は無辺なれども 誓って学(まな)ばんことを願う
如来は無辺なれども 誓って事(つか)えんことを願う
菩提は無上なれども 誓って証(さと)らんことを願う
セミたちの声と、
鳥たちのさえずり、
「ありがとう」、
そういっているように聞こえた。
合掌 天宮光啓