こんなSGLT2阻害薬の試験を昔やろうとしたら、でたらめアホかといわれていたでしょう。

急性心筋梗塞後の心不全抑制とか超高齢化社会で有益すぎる。

 

Empagliflozin after Acute Myocardial Infarction

「急性心筋梗塞後のEmpagliflozin」

著者:Javed Butler,+33, およびAdrian F. Hernandez, M.D.

N Engl J Med 2024;390:1455-1466
DOI: 10.1056/NEJMoa2314051VOL. 390 NO. 16

**要約**
**背景**  
Empagliflozinは、心不全患者、心血管リスクが高い2型糖尿病患者、慢性腎臓病患者において心血管転帰を改善します。急性心筋梗塞を経験した患者におけるEmpagliflozinの安全性と有効性は不明です。

**方法**  
このイベント駆動型の二重盲検、無作為化、プラセボ対照試験では、急性心筋梗塞で入院しており心不全のリスクがある患者を、入院後14日以内に標準治療に加えてEmpagliflozinを1日10mgまたはプラセボを1:1の割合で割り当てました。主要評価項目は、時間別初イベント解析によって評価される心不全の入院または死亡の合併症でした。

**結果**  
Empagliflozin群に3260人、プラセボ群に3262人が割り当てられました。中央値17.9ヵ月の追跡調査中、Empagliflozin群では267人(8.2%)、プラセボ群では298人(9.1%)が心不全の初回入院または全死亡であり、発症率はそれぞれ100人年あたり5.9および6.6イベントでした(ハザード比0.90、95%信頼区間[CI]、0.76〜1.06、P=0.21)。主要評価項目の個々の構成要素に関しては、Empagliflozin群では初回の心不全入院が118人(3.6%)、プラセボ群では153人(4.7%)であり(ハザード比0.77、95%CI、0.60〜0.98)、全死亡はそれぞれ169人(5.2%)および178人(5.5%)でした(ハザード比0.96、95%CI、0.78〜1.19)。有害事象はEmpagliflozinの既知の安全性プロファイルと一致し、2つの試験群で類似していました。

**結論**  
急性心筋梗塞後の心不全リスクが高い患者の中で、Empagliflozin治療はプラセボよりも初回の心不全入院または全死亡のリスクが有意に低いとは結論されませんでした。(Boehringer IngelheimおよびEli Lillyの支援を受けたもので、EMPACT-MI ClinicalTrials.gov番号はNCT04509674です。)